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2007年05月02日
◎ドル実効相場は10年ぶり安値圏

ドル/円の値動きだけを単体で取り上げると118円から119円程度で推移しておりさほど実感がないものの、そのほかの通貨ペアを見ると、ここ最近は米ドルの一段安が際立つ相場となっている。

事実、ユーロ/ドル相場は04年12月につけたユーロの史上最高値1・3670ドルをうかがう展開になっているほか、ポンド/ドル相場はおよそ26年ぶりの高値、NZドルと米ドルの関係は変動相場制の最高値圏---と、現在歴史的なレベルに到達している米ドル絡みの通貨ペアは少なくない。

そうしたなか、米ドルと他通貨の個別の強さではなく、米ドルの実質的な強さはいかがなものか調べてみた。通貨の本当の強さを示す実効相場、その代表であるFRBインデックスを見てみると、米ドルは本稿執筆時の最新データ4月20日現在で104・83となっている。
ちなみにこれは、97年8月8日以来のドル安値。ドルはやはり、ある特定の通貨だけに弱含んでいるわけではなく、対円を含むすべての通貨に対しておよそ10年ぶりの安値をつけているということが改めて確認されたわけだ。

一方で、ドル実効相場のチャートをみると、105前後というのはなかなか重要なレベルに当たることが見て取れる。
完全に割り込んできたとは言えないものの、足元でわずかに下回っており、かなり危険なレベルに位置していることだけは間違いない。しっかり割り込むようだと、フィボナッチ指数を適応させた大きな上昇幅に対する下げ幅の観点からも、100の大台割れが視界内へと捉えられる可能性もある。

いずれにしても、何故ドルがこれほどまでに安いのか。理由は幾つもあるが、最大のものとなると、やはり米景気に対する不透明感が挙げられる。また、景気後退の懸念が指摘される一方で、インフレ率が高止まりしていることで、「景気後退期のなかの物価高を示す」スタグフレーションに陥る可能性が声高になりつつあることも米ドル安の大きな一因となっている面は否めない。
そんなことからすると、現在実質的な価値が10年ぶりの安値圏で低迷している米ドルだが、当面のあいだ劇的な回復は難しいように思う。(了)



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