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2007年04月18日
◎米住宅市場に異変、ただ吸収出来る範囲内?!
筆者はだいぶ前から、米住宅バブルについての警告を発してきた。
最初に発した警告がいつだったのか、当人にも記憶はないのだが、少なくとも1年以上前であったことは確実だ。しかし、ご存知のとおりバブルはなかなか破裂せず、半ば「オオカミ少年」と化した辛い時期を過ごしてきたわけだが、ここにきてようやく米住宅市場に目に見える格好で異変が起こり始めている。
米住宅市場における異変とは、ご存知のように「サブプライムローン」における焦げ付きの増加だ。本題に入る前に「サブプライムローン」とはなにか、をまず簡単に説明すると、かつてクレジットカードの延滞履歴があるなど信用力の低い人に対する住宅ローンのこと。したがって、通常のローンに比べて金利は当然高く設定されている。最初の数年は比較的低めの金利であっても、3〜5年目以降は10%以上にもなる高金利に設定している商品も少なくないと言う。
それでも、このローンの形態は全米で認知されており、事実住宅ローンを利用する人たちの15%近くが利用しているとのデータもある。最新の融資総額を見ると、実に1・3兆ドルを超えているというから驚きだ。
なぜ、こんな高金利ローンがこれまでワークしてきたのかといえば、理由はひとえに米住宅価格が右肩上がりの上昇を続けてきたからだ。購入した住宅の価格上昇分が担保となり、新たな資金調達などに動けたため、それでローンをなんとか返済できた。
しかし考えてみれば、この方法は典型的な自転車操業と言えるだろう。一度好の連鎖が途切れると、途端ににっちもさっちもいかなくなってしまうことは、指摘するまでもない。そして、FRBによる断続的な利上げ実施の結果、住宅価格の上昇がピークアウトし、返済に行き詰った向きが大量に増殖し始めている。
これだけをみると、かなり危機的な状況に置かれている感を否めないものの、懇意にしている在米筋からは、過去の住宅市場の調整局面を参考にした場合、「米国の失業率や金利面でまだ幾分余裕がある状況」との話も聞かれていた。つまり、問題がここまでで留まるのならば、なんとか吸収出来る範囲内であるのかも知れない。
事実とすれば、米住宅市場は思っていた以上に懐が深い。(了)
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