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2007年03月21日
◎デフレ脱却宣言に慎重な政府・与党

政府が「デフレ脱却宣言」に慎重な姿勢を見せている。
適切かどうかは別にして、日銀がすでに金利の引き締めに動き始めており、「デフレ継続」といっても筆者などにはピンとこない。また実勢にそぐわないような気もするが、確かにまだ不安な要因も見え隠れしている。

ご存知の方が多いと思うが、政府はデフレ脱却について「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」---と定義したうえで、「4つの指標」を総合的に判断して決定すると指摘している。
すなわちそれは、@消費者物価指数AGDPデフレーターB需給ギャップC単位労働コスト---になる。

前述4つの指標について最近のデータを振り返ると、06年12月の毎月勤労統計調査では現金給与総額は4ヶ月ぶりに前年実績を下回った。つまり、Cに当たる賃金の伸び悩みは足元でもまだ続いていることになる。また、Aについても依然としてマイナス圏を脱却できない状況が続いている。
@については、今月2日に発表された最新データ1月分がプラスマイナス0、コア指数はマイナス0・2%となった。さらに専門家のあいだでは、次回発表以降のデータでも基本的な傾向は変わらない、と予想されている。

一方、それに対しBの需給ギャップは06年の第4四半期にプラスとなった。これは実に97年第1四半期以来のこと。こちらはデフレ脱却を強く示唆するものとして期待が掛かるが、前述専門家によると「第3四半期に落ち込んだことの反動」であり、継続性のあるものかどうかは疑問があるという。

ともかく、4指標のうち3つが「バツ」、残るひとつもハテナマークが付く「マル」といったところで、確実な「マル」はまだひとつもない。これでは政府・与党が「デフレ脱却宣言」を発することに慎重姿勢をとることは判らなくもない。宣言には最低でも3つ程度の「マル」は欲しいところだ。

ただし、筆者のシロウト意見としては、データ(指標)にあまり力を掛け過ぎない、「ハダ感覚」をもっと大事にしてもらいたいと思っている。そうでないと、経済情勢の実体を読み誤るだけでなく、金融政策の対応についても後手に廻る具を再び犯しそうな気もしないではない。(了)



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