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2007年02月28日
◎日米自動車貿易摩擦、根強い再燃への警戒感

今月16日、複数の米メディアが「自動車大手ダイムラー・クライスラーが業績不振に陥った北米部門クライスラー・グループの売却を検討」---などと報じ、マーケットの思惑を呼んだ。
そうしたなか、対照的に好調さの目立つ日本車メーカーに対して米国から圧力が強まる、などといった見方は依然として根強いものがある。

ご存知の方も多いと思うが、いわゆる「日米自動車貿易摩擦」が一応の解決を見たのはいまから12年前、95年のことだった。独ダイムラー・ベンツと米クライスラーが合併をしたのは、その3年後98年のことで、日米自動車摩擦の軽減・消滅というある種の影響を受けてのものであったとも言えよう。

しかしクライスラーの身売りが事実であるとすれば、「ヒョッとすると時計の針が90年代前半、つまり日米自動車貿易摩擦前に戻る可能性もある」(自動車ジャーナリスト)。とくに、クライスラーの売却先が「GMという米国の企業に決定すればなおさら」(同)その危険性が高まるのかも知れない。

だからといって、即座に日米摩擦再燃、対日制裁案発動---などといったことはないと思われる。米国サイドもそこまで短絡的ではないだろう。
とは言え、日本からの対米輸出が急増していることは事実であり、たとえば昨年のトヨタの対米輸出は80年代を上回る過去最高規模を記録している。また、米議会において民主党が多数派を占めているという状況も気掛かりだ。

ちなみに、後者については早速、下院エネルギー商業委員会と貿易小委員会の両委員長に自動車大手の本社や工場が集積するミシガン州選出の民主党議員が選ばれたという事実もある。
その選ばれた2人の委員長、具体的にはディンゲル氏とレビン氏は、ともにかなりの「対日強硬派」として知られる人物で、実際にさっそくディンゲル氏はほかの議員数人と連名でポールソン米財務長官に対し、「日本政府はドルとユーロとの不均衡修正に外貨準備を売るべきだ」---などを盛り込んだ書簡を提出したと報じられている。

スグにという意味では危機感を抱く必要もなさそうだが、やや時間を掛けつつもジワリと対日包囲網が形成される可能性を否定出来ず、関係者は安穏とはしていられない状況が続きそうだ。(了)



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