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2006年12月27日
◎輸出再シフト進む、日米貿易摩擦再燃警戒
日本の大手メーカーが輸出シフトを強めている。
たとえば、先日『日本自動車工業会』が発表した輸出台数によると、今年1月から10月までで国内生産に占める輸出比率は51・2%にも達していることが明らかになった。また、このままのペースが続けば06年の通年でも19年ぶりとなる「輸出比率50%超」を記録する見通しだという。
覚えている方が多いと思うが、90年代にはいわゆる日米自動車摩擦が一世を風靡。米国からの圧力を回避しようとした結果、自動車メーカーの多くは北米など現地生産に力を注いだわけだが、「世界的な需要増に現地だけでは生産が追い付かない」(大手メーカー)状況に陥りつつある。その結果、ここにきて国内からの輸出が再び増えつつあるというわけだ。
一方で、先週15日発表された12月調査の日銀短観を見てみると、大企業・製造業の事業計画の前提となっている想定為替レートは年度通期が1ドル=114・04円、下期だけでは113・40円と発表された。
前回発表された9月調査の111・64円、111・31円から上方修正されたとはいえ、それでも現状の117〜118円水準からは大きく乖離しており余裕がある。
少なくとも焦ってドルを売り下がる必要性が薄れているだけではなく、このままの状況が続けば、再び業績を押し上げる大きな要因となることは確実だ。
11月の米中間選挙後に実施された米自動車大手ビッグスリーとブッシュ大統領との会談において、メーカーサイドからは日本に対する強硬なスタンスが示されたものの、当の米大統領はそれほど強い不満を示さなかった。ホッと胸を撫で下ろした本邦メーカーも少なくなかったのではないか、と思われる。
しかし、日本からの輸出が再び増えつつあることに加え、円全面安で膨大な為替差益を享受出来る公算が大きいという現状からすれば、そのスタンスがいつ変化してもまったく不思議はないように思う。
実際、在米外交筋からは、「すでに日本メーカーの一人勝ちを苦々しく思っている要人も少なくない」とされるだけに、予断は許さずに今後の動向を注視してみたい。
このままの状況が続くようだと日米貿易摩擦の再燃も?(了)
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