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2006年12月13日
◎足並み揃わぬ欧州、ユーロの上昇余地残る

ユーロの堅調推移が止まらない。ついには対円でヒスカリカル・ハイを更新する154円台、対ドルでも昨年3月以来の高値である1・33ドル台へと達してきた。

そんなユーロ相場の先行きについて、フランスの首相であるドビルパン氏が「ユーロ相場が輸出業者に悪影響を及ぼしている」と発言しているほか、ドイツのIFO経済研究所エコノミストであるネルプ氏からは、「ドイツの輸出業者はユーロ/ドルの1・30ドルは耐えられるだろうが、1・35ドルなどになれば打撃を受けるだろう」などと、さらに具体的な発言が発せられている。

しかし、そうしたユーロ高の懸念は欧州の統一見解ではないようだ。
むしろ、今月5日に報じられたアルムニアEU委員の発言「フランスはユーロの水準について過度に焦点をあてるべきではない」---に代表されるように、現状のユーロ高を容認している旨の発言が目に付く。フランスのようなユーロ高を懸念している先は少数派と言えるかも知れない。

では、一体どこまで達すると、足並みの揃った危機感が欧州諸国に台頭するのだろうか。ユーロの前身といってよいドル/独マルクを参考に欧州による介入スタンスなどを考えてみたい。

歴史の浅いユーロ/ドルでドル買い介入を実施した経験はいまだ皆無。04年につけた1・35ドル台でもユーロ売りの市場介入は観測されなかった。
ただし、前身であるドル/マルクで実施されたドル買い・マルク売り介入を筆者が調べてみたところ、90年以降だけでも91、92年一年空けた94、95年と観測されている。
ちなみに、ドル/マルクのレートをユーロ/ドルに引き直すと、1・30ドル以上というレベルはおおむね「警戒ゾーン」であり、1・35ドルは完全な「危険水域」だ。

もちろん、だからといって今回の局面で即座に市場介入が実施されるとは思っていないけれども、ここから先の「ユーロ高許容範囲」はそれほど大きくないようにも思う。

個人的には、ユーロの上値メドを取り敢えず1・35ドル程度と予想しており、その手前であってもまずは口先介入から、フランス以外の国においても懸念を示す声が高まっても不思議はないように考えている。(了)



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