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2006年10月18日
◎円の実質価値はプラザ合意後最低

実勢相場における円独歩安を受けて、通貨の実質的な価値を図る「通貨実効相場」における円安も止まらない。
先日付け日経新聞でも報じられたように、日銀が発表した「通貨実効相場」は85年「プラザ合意」以来のレベルとなった。ちなみに、当時のドル/円相場は200円を越えており、それからすると米国などから「勝ち過ぎ」として貿易不均衡問題が今後浮上しても不思議はないのかも知れない。

初見である方のためにごく簡単に説明すると、「通貨実効相場」とは通貨の実質的な価値を示す指標のこと。基本的には各国の中央銀行が自国通貨の通貨実効相場については定期的に発表している。日本で言えば日銀が月イチで発表しているものだが、その最新データが先日発表された。

それによると今年9月の月中平均は101・3となった。8月は102・4であり、数字が小さくなるほど円安傾向を示すことからすると、9月は前月比で1%ほどの「円安」が進行したことになる。

いずれにしても、今回発表された9月の月中平均は85年10月の101・9を上回る数字。つまり、ドル/円相場だけを見ると118〜119円レベルで推移しているものの、クロスを含めた実質的な価値は85年に起こった「プラザ合意」以来の安値圏に位置していることになる。

こうなってくると懸念される要因のひとつが、日本に対する「勝ち過ぎ」もしくは「一人勝ち」との各国プレッシャーだ。
これまでは景気の低迷やデフレといった色彩もあり、それほど強いものはなかった。しかし、デフレもようやく脱却し、景気の回復感もうかがえるということを考慮すると、日本に対する不満がジワリと強まっても不思議はないだろう。実際、すでに一部の欧州やアジア諸国からはそうした声が強まりつつある。静観を決め込んでいるのは、ある意味意外なことに米国ぐらいだ。

しかし、そんな米国にしても、日本では安倍政権が誕生したばかりということでまだ様子見となっている側面が強い。もう少し状況を見極める「蜜月期間」が続くことはありうるが、安倍政権の今後の対応如何ではダンマリを決め込んでいる米国からも円安について非難の声が挙がる可能性がある。
そのときにこそなし崩し的な円高が進行するのだろう。(了)



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