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2006年09月27日
◎「デフレ脱却宣言」発表、9月は見送り
政府が「日本経済は緩やかなデフレにある」---とデフレを公式に認めたのが01年3月で、小泉政権が誕生したのはその一ヶ月後である01年4月のこと。つまり、小泉政権は誕生以来、「常にデフレとともに歩んできた」---と言ってもあながち間違いではない。
そのためか、小泉首相がデフレ退治について並々ならぬ意欲を持っていることは周知のことであり、首相退任の有終の美を飾るものとして「デフレ脱却宣言」を掲げて退陣する、との見方が一時は既成事実化もされていた。
具体的には今月15日の発表が予定されていた「9月の月例経済報告」がそれで、内閣府の担当なども文言の盛り込みに動いていたが、最後の最後で盛り込みが見送られた。政治的な要因・圧力を土俵際で「うっちゃった」格好にあるわけだが、一体なにがあったのだろうか。
内閣府筋によると、そもそもは8月25日に発表された7月の消費者物価指数が基準値改定の影響があったとはいえ大きく落ち込んだことがまずあるという。
それに加えて、最近発表される米国の経済指標に冴えないものが多く、景気減速が懸念されることの影響も小さくはない。また本邦株価が9月に入りややハッキリしない値動きを辿っていた時期があったことも理由のひとつになっていたようだ。
さて、取り巻く緒環境を見ると内閣府が今月中の「デフレ脱却宣言」を見送った行為そのものは致し方ない。しかしながら、となるとそれを受けて苦境に立たされそうなのが中央銀行である日銀だ。
以前にもレポートしたように、政府による「裏書き」「お墨付き」のないなか、日銀は飽くまで「独断」で7月にゼロ金利を解除したことになっている。長雨による天候不順など幾つか想定外の要因があったとは言え、00年夏のような「日銀のあやまち」論が識者を中心にジワリとかま首をもたげていることは気に掛かる。
まさかまさかの「ゼロ金利差し戻し」はないと期待も込めて筆者はそう信じる。しかし、仮にそんなことがあれば一度目でなく二度目の失敗だ。それこそ日銀の信頼が完全に失墜することは確実となろう。そうした意味において、日銀は正念場を迎えている。(了)
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