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2006年09月20日
◎ユーロ高の恩恵受け輸出企業は笑い止らず

足元のユーロ高・円安に対して、日本に進出している欧州系の企業が青色吐息となっている。
BMWなど欧州系の自動車メーカーや、ルイ・ヴィトンなどブランド系宝飾品メーカーなど、一部ではすでに値上げに動いているところもあるものの、最近の為替動向からすると、さらなる値上げを余儀なくされそうな雰囲気だ。1年前と比べて10%以上のユーロ高・円安進行が売り上げに重く圧し掛かっていることは想像にがたくない。

そうした欧州系企業に対して、日本の輸出企業は非常に元気。背景のひとつには、ユーロ高・円安により大きな円安メリットを享受していることがあるのだろう。
ちなみに、ほとんどの方が勘違いされているようだが、多くの輸出企業にとって「為替面」からすると、米国向け輸出よりも、欧州向け輸出のほうが大事だ。そこで大幅な円安が進行している足元の状況などは、まさに「ドル箱」と言ってよい。

なぜ米国よりも欧州向け輸出の方が大事であるのか。
キチンと説明すると非常に長くなるのだがうちひとつには、ユーロ建ての輸出はあってもユーロ建ての輸入はまだ軽微であることが挙げられる。つまり、ユーロの場合には社内でのネッティング(輸出入代金のバランスを取る行為)をしても、その「ユーロの売り超」は著しい。そのため、為替相場におけるユーロ高・円安はそっくり享受できるというわけだ。

いずれにしても、例えばトヨタ自動車のケースで65億円とされる、「対ユーロで1円変動したときの増減額」を鵜呑みに出来るかどうかは別にして、今期社内レートを現状より10円以上も低い、135円程度と予想していたことからすれば、輸出メーカー各社はそれぞれ数十億円から数百億円単位の為替差益を挙げている計算になる。ボロ儲けだ。

問題は現在のようなユーロ高・円安を欧州諸国がどこまで容認出来るかで、それに対しては先週末に掛けてドイツやフランスなど一部の欧州要人から不満の声が聞かれていた。
おりしも今週末にはシンガポールでG7会合が開催される。発言を聞くと決して一枚岩ではないようだが、それでも現状のような「弱い円」に対してなんらかの議論がなされる可能性はある。(了)



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