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2006年09月13日
◎早くも注目集める、10月の米FOMC

マーケットでは今月20日に実施される米FOMCが注目されているが、一部のエコノミストなどからはすでにその先を見据えた10月開催のFOMCが注視されている。
と言うのも、後者においてはバーナンキFRB議長が以前から積極的に推進している「インフレターゲット」の導入について議論がなされる見通しであるためだ。

「インフレターゲット」---とは、中央銀行が目指す物価上昇率をまず明示、伸び率がその範囲内に収まるように政策金利を変更する手法をいう。実際に欧州では「インフレ率は2%以下」と目標値を具体的に定めているほか、英国や豪州、ニュージーランド、カナダ、スウェーデンなど先進国の多くで「インフレターゲット」は導入されている。

しかしながら、米国はこれまで「インフレターゲット」を政策に導入してこなかった。これは前FRB議長であったグリーンスパン氏の意向が強かったと見られる。
グリーンスパン氏は反対論者の急先鋒で、その理由は「インフレターゲットを導入すれば、景気や雇用問題よりも物価を優先せざるを得ない」---ことによる。優先順位が違うのでは、との思いがグリーンスパン氏の考え方の基本であったようだ。

ところがFRB議長が反対派のグリーンスパン氏から、推進派のバーナンキ氏へと代わったことで、FRB内部においても「インフレターゲット」導入の動きが急速に勢いを増している。そのひとつは、金利引き上げ休止を決めた前回8月8日の会合で、「金融政策の透明性を高める手法を10月に協議することで合意した」と声明文に記されたことに現れている。これがインフレターゲットの話であるのは、言うを待たないだろう。
導入が決定されるかどうかはともかく、10月の会合で話し合いがなされることは確実な状況にある。

FRB内部の力関係も多少変化したとは言え、意見の統一には時間の掛かることが予想される。一筋縄に行くとは思われないけれども、前述したように世界的な流れが「インフレターゲット」導入の方向にあることは間違いない。
現在では先進国で導入していない先はむしろ少数派で我が日本と米国ぐらい。それが議論においても、ある種のエクスキューズになるかも知れない。(了)



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