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2006年08月23日
◎止まらぬ原油高、100ドル台乗せも?

原油高の流れがどうにも止まらない。昨年4月、発表直後は「ヤリ過ぎ」だと一笑に付された米ゴールドマンサックスの「原油105ドル説」などは、いま思うと先見の明があったのかも知れない。

いささか旧聞になるが、今年の6月20日、ワシントンの全米エネルギー協会で講演したサウジアラビアのトゥルキ・ファイサル駐米大使は当時70ドル程度で推移していた原油価格に関して、「軍事行動による解決が図られた場合、原油価格は3倍に高騰することもあり得る」---などと発言し、参加者の度肝を抜いた。根拠は脆弱であり、ブラフ(脅し)という意味合いが強くはあるが、それでも70ドルの3倍、単純計算でも原油価格が200ドル以上に達するとの見通しを中東の要人が示したものだからだ。

その後は、同発言をフォローする向きもなく、ある意味忘れられた存在になっていたが、ここにきて「200ドル説」はともかく、原油価格について著名投資家や米系証券などから強気の見通しが相次いで聞かれ始めた。
それも、一過性のものではなく、継続的な流れとして原油高が続くのでは、と予測するレポートの類が少なくない。100ドル台定着が一部ではコンセンサスとして語られているほどだ。

実際の例をひとつだけ挙げると、あのジム・ロジャーズ氏は、ここにきて原油価格は1バレル=100ドルを上回る水準まで上昇し、その後も高値を維持するとの見通しを示しているほか、「商品価格は今後15年にわたり上昇局面が予想され、原油もその一角を占める」---などともコメントしている。

何故そうした原油高が起こるのか、そして高止まりが続くのか、複数のレポートや発言からチョイスしてみるとほとんどのケースで、「米国が軍事行動を起こした場合」がまず前提条件になっている。
そのうえで、米軍事行動が中東諸国の石油施設破壊や、「オイルロード」と言われるホルムズ海峡の閉鎖などを引き起こし、供給懸念に陥るとの見通しに繋がっていることが見て取れる。

投機マネーの流入が原油価格を必要以上に押し上げていることは事実だが、長い目で見た場合の需給要因が厳然としてくすぶっているということをキチンと認識しておく必要があるのだろう。(了)



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