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2006年08月16日
◎運のない日銀、長梅雨の悪影響注意
梅雨前線の停滞により、平均では7月20日ごろとされる梅雨明けが今年はだいぶ遅れた。気象庁の発表によると、北陸は8日、関東甲信、東海、中国は10日、近畿は11日遅い---梅雨明けだったという。
気象庁によると、梅雨が明けた足元8月は「夏らしい暑さになる」とのことだが、実は7月の長雨ならびに日照不足はすでに深刻な状況。農作物に与えた被害はすでに大きなものがあり、家庭の主婦であれば野菜の値段が高騰していることは周知のことだと思われる。
天候不順の要因となっている「長梅雨」について筆者が気象庁発表データを過去に遡って調べたところ、今回に匹敵するような「長梅雨」は過去30年ほどで4度観測されている。すなわち82年、93年、98年、03年---だ。そして、個別に内訳を見ていくと、82年と98年、03年は梅雨明けが8月にズレ込んだ年であり、93年は「梅雨明けが“いつ”と特定できない」という特異年だった。
そんな過去4回の「長梅雨」と景気の関係を見ていくと、ある意味では当たり前だが非常にネガティブな相関性が見て取れる。その典型例は「長梅雨」に続き「冷夏」に見舞われた93年か。当時はコメが大凶作となり、タイ米などを緊急輸入したことを覚えている方もいると思う。そんなこともあり、当時の船田経済企画庁(現内閣府)長官は6月に発した「景気底入れ宣言」を8月に早々と撤回したという経緯もある。また、「長梅雨」であった82年や98年から奇しくも景気後退が始まったのはデータ上、明らかなことだ。
今年は幸い、まだそこまで危機的な状況に陥ってはいない。しかし、経験則からすると今後の景気低迷には注意を要することだけは間違いない。長かった梅雨はようやく明けたものの、今後「冷夏」や逆に「日照り」といった天候不順に見舞われるようだと単なる一時的な落ち込みだけでは済まないのかも知れない。
それにしても、景気回復を背景に日銀が7月にゼロ金利解除をしたら、この天候不順。今回同様、ゼロ金利解除後ITバブル崩壊に見舞われた、日銀による「00年夏のあやまち」が、再びチラっと脳裏をかすめたのは決して筆者だけではないだろう。
運がないと言うのかなんと言うのか・・・。日銀にはかける言葉が見当たらない。(了)
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