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2006年08月02日
◎円実質的な価値は90年以降の高値圏

先日、日銀が発表した「通貨実効相場」は非常に興味深いものだった。
筆者の知る限り大きく報じたメディアはなかったものの、為替マーケットの視点からは無視出来ないものであったと考えて今回の当稿ではそれを取り上げて考察してみたい。

「通貨実効相場」とは簡単に言って、通貨の実質的な価値を示す指標であり、当コーナーでも過去に幾度となく取り上げている。したがって、上記以上の説明を望まれる方はお手数だがバックナンバーを参考にして欲しい。

さて、その通貨実効相場のひとつに日銀が月イチで発表するもの(通称『日銀通貨インデックス』)があり、その最新データが先日発表された。それによると6月の月中平均は104・7となった。5月は106・4であり、数字が大きいほど円高傾向を示すことからすると、6月は逆に1・6%ほど「円安」が進行したと言えそうだ。

---と書くと、読者の中にはもしかしたら奇異に感じる方がいるかもしれない。何故なら、ドル/円相場は6月の108・97円から6月には一時116・71円まで「ドル安・円高」が進行しているほか、ユーロ/円やポンド/円などクロスでも軒並み円の大幅安が進行しているからだ。つまり、「それだけしか円安が進まなかったのか」、という疑念があっても不思議はないように思う。

しかし、残念ながら筆者の計算間違いでもなんでもなく、これは確かなことなのだ。どういうことなのか調べてみると、6月の日本円はNZドルや南アフリカランドを始めとするいわゆるエマージング通貨に対して一本調子の展開を辿っており、決して「全面安」ではなかった。そうしたものをトータルして考えると、ドル/円などの円大幅安が相殺され、結果として「わずかな円安が進行したに留まる」との結論になるわけだ。

一方で、今回のデータに示された6月104・7という数値はここ半年ほどで何度か観測されているレベルではあるものの、ヒストリカルな観点で見てみると、少なくとも90年以降では最高の「円安」レベルに位置している。
ドル/円相場に換算すると、90年4月につけた160円以上の「円安」水準、どんなに贔屓目にみても見掛け以上のレベルに達していることは間違いない。(了)



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