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2006年07月26日
◎世界の中央銀行は米ドル志向強める

04年ごろからだろうか、「世界各国の中銀が保有している外貨準備高に占める米ドルのシェアを低下させている」---との報道が盛んに指摘されるようになった。当初聞かれていた先は中東、東南アジア、ロシアなどであったが、それが昨年末ぐらいになり、「米国の裏庭」と言われるアルゼンチンや世界最大の外準を保有している中国までもが、米ドル偏重を見直す予定にしたと報じられている。

しかしながら、ユーロ/ドルのチャートを見ると今年はともかく昨年は年初ユーロ高の年末ユーロ安と、ほぼ一本調子の下落を辿っていた。中銀の動向とそぐわずおかしいと思った向きは筆者だけではなかったと思われるが、その理由がこのほど判明した。
先日IMF(国際通貨基金)が発表したところによると、05年末時点で世界各国の中銀が保有する外準における米ドルのシェアは思惑と裏腹にむしろアップしていたことが明らかになった。

具体的な数字を見ていくと、05年末時点の外貨準備高トップは米ドルで66・3%のシェアを占めている。また2位はユーロでこちらは24・8%となっていた。ちなみに、米ドルのシェアは1年前、04年末に65・8%だったので0・5ポイントほどアップしている反面、ユーロのシェアは同24・9%からわずか▲0・1ポイントだがシェアダウンしていることになる。

いずれにしても、様々なメディアで報じられているほどに「米ドル離れ」そしてそれにともなう「ユーロシフト」は起こっていない公算が大きい。結果からすると、むしろ米ドル志向がわずかだか強まっているとさえ言えそうだ。
半ば余談になるが、だからこそ昨年は年初の1・35ドル台から年末に向けては1・16ドル台へと、2000ポイント近いユーロ安・ドル高が進行した可能性がある。少なくとも昨年に限れば、世界の中銀の動きがユーロの下支え要因になっていなかったことは明白だろう。

一方、今回のIMFデータを見るともうひとつの興味深いことに気が付いた。
それは、世界各国の中央銀行が保有する外準において、第3位の地位を守ってきた日本円が今回第4位へと初めて転落したことだ。逆に、日本円に代わり3位となった通貨は英ポンドだった。
国際社会における日本円の凋落傾向は著しいものがある。(了)



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