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2006年07月12日
◎SEC規制に違法判決、HF巡る混乱まだ続く

「資産3千万ドル以上、顧客15人以上のヘッジファンドはSEC(米証券取引委員会)に登録する必要がある」---などとしたヘッジファンド規制に先日違法判決が下された。それを受け、SECはヘッジファンド規制の再検討を余儀なくされることになる。ヘッジファンドの取引規制を狙った混乱は、まだ当面続く可能性がある。

ご存知の方が多いと思うが、前述したヘッジファンド規制とは「不正取引の防止」や「取引の健全化」を目標にSECが打ち出したもので、今年2月1日に発効されている。
それに対して一部のヘッジファンドが異議を唱え、SECの規制についてワシントンDCの高等裁判所に訴えを起こしていたものだが、その判決が先日下された。それによると、訴えはほぼ全面的に認められ、SECの敗訴となった。

正直なところ、筆者はSEC敗訴の判決が出るとは予想していなかった。そもそも論とすれば、日本ではまず考えられないタイプの判決でもあると言えよう。
ともかく、判決を受けてSECの取るべき方法は「最高裁に上告する」「廃案にする」---などが考えられるが、どちらも最初の一手としては現実的な方法ではない。やはりまずは、違法とされたヘッジファンド規制案に修正が施されることになるのだろう。

その一方で、訴えを起こしていたヘッジファンドだけでなく、ほかのファンドからも違法判決を歓迎する声は少なくない。「いっそのこと廃案にして欲しい」---などといった声も聞かれる。SECへの登録などを盛り込んだヘッジファンドにとって規制案は、やはり「目の上のタンコブ」という存在であったようだ。

しかしながら、高裁での違法判決を受けたのち、米コネティカット州のブルーメンソール司法長官は米上院司法委員会で証言をし、そのなかで「政府がヘッジファンドの規制強化をしなければ、州当局が代わりの規制を設けて監督に乗り出す」---などと発言し、浮かれる一部ヘッジファンドを強く牽制した。流れそのものに大きな変化は見られない。

いずれにしても、今回予想外ともいえる高裁判決が出たことで、ヘッジファンド規制の行方が再び注目を集め始めた。最終的な落としどころ、ヘッジファンド規制がどんな最終形で決着を見せるのか引き続き予断は許さない。(了)



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