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2006年06月28日
◎イッシング理事退任で強まるトリシェ色

ECB(欧州中央銀行)のチーフエコノミストとして活躍してきたイッシング専務理事が5月31日を持って引退をした。ECBの金融政策などを左右する発言も少なくなかったイッシング氏だけに、その功績を讃える声も少なくない。イッシング氏のいないECBになにか変化はあるのだろうか。

具体的な話に入っていく前に、まずは「ECB専務理事とはなにか」について記述しておきたい。
すなわち、正副総裁を含めてもトータルで6人しかいない「ECB常勤役員」のひとつ。5月末段階ではフランス人のトリシェ、ギリシャ人のパパデモスの正副総裁ほか、イッシング(ドイツ)、ビーニスマギ(イタリア)、ゴンザレスパラモ(スペイン)、トゥンペルグゲレル(オーストリア)の4専務理事で構成されている。

ECB内で多くの権限を握る6人の常勤役員をドイツ、スペイン、フランス、イタリアの欧州4大国が常に占めることに対する弱小国からの警戒感は依然として強いものの、イッシング氏の後任はシュタルク独連銀副総裁でほぼ決定されそうな雰囲気。実際、すでに独政府からの推薦だけでなく、欧州議会からの承認も得ており、あとはECB総裁の承認を待つばかりだ。
さて、イッシング氏からシュタルク氏に専務理事が代わった場合、ECBの政策にどんな変化が生じるのだろうか。

ひとつ考えられることは、シュタルク氏は「超」が付くほどのタカ派・インフレファイターであるため、金融政策に関してECBもやはり金融引き締め方向へのリスクが高まる可能性は否定出来ない。
しかしながらトリシェECB総裁氏は、「チーフエコノミスト」として、これまではイッシング氏に集中していた職務をほかの専務理事にも分散させることをすでに打ち出している。別の言い方をすれば、「チーフエコノミスト」の職は当面儲けず、今後は4人の専務理事が横一直線の立場に置かれることになる。少なくとも、シュタルク氏がイッシング氏の後任になっても、権限までが委譲されるわけではない。

その結果、いったいなにが起こるのかと言うと、必然的にトリシェ総裁の権限アップが見込まれる。言い過ぎを覚悟でいえば、総裁の独裁性が強まる可能性もありそうだ。(了)



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