TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2006年06月14日
◎W杯期間は為替小動き、ディーリングは二の次か?

日本では野球の人気にいまだ追い付かないが、世界的に見ればサッカーがもっとも人気のあるスポーツと言って良い。そのサッカーにおける最大の祭典、「ワールドカップ」が明日の「ドイツ対コスタリカ」戦を皮切りにいよいよ開催する。

そんなワールドカップがはじめて開催されたのは1930年のウルグアイ大会だったが、筆者が1973年の変動相場制以降に開催された都合8回のワールドカップ期間中の為替変動を調べたところ、そのほとんどのケースにおいて意外なほど小動きを辿っていることが明らかになった。

例えば、前々回1998年フランス大会(6月10日〜7月12日)こそ期間中の価格変動はおおよそ135〜146円と11円幅で観測されたが1994年の米国大会(6月17日〜7月17日)は97〜102円と約5円、1990年イタリア大会(6月8日〜7月8日)は151〜155円と4円の値動きに留まっている。
ちなみに、開催期間中にもっとも大きく変動したのは1978年のアルゼンチン大会(6月1日〜25日)で、具体的には14〜15円ほどの値動きが観測されている。

しかし、当時の為替レートは200円を大きく超えているため、見た目が大きくみえるという点を考慮する必要があるだろう。つまり、「価格変動率」に換算すると1978年のケースでも僅か5%強の変動に過ぎない。過去8回の平均変動率となるとおおよそ4%強といったところに留まる。いずれにしても、開催期間が1ヶ月近くにも及ぶという日柄的なものからすれば、4%強の価格変動は決して大きいとは言えないだろう。

さて、日本もさることながら、米国においてもサッカーを人気スポーツというカテゴリーに入れることは難しい。けれども、サッカー発祥の地である英国をはじめ欧州諸国のサッカー熱は非常に高く、そのためか開催期間中のディールはどうしても見送られる傾向にあるようだ。とくに今回はドイツという欧州での大会開催だけに、さらにそうした傾向が強まる可能性がある。
世界最大のマーケットである「シティ(ロンドン)」のヤル気減退が、日米のマーケットへも波及する公算は否定出来ない。今回の大会期間中も市場流動性の低下には十分な注意をはらいたい。(了)



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved