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2006年06月07日
◎矢面に立つバーナンキ、議長就任後最初の試練

今年2月、FRB議長に就任したばかりのバーナンキ氏が早くも矢面に立たされている。
その理由に挙げられているものは発言に対する「重み」が感じられず、マーケットの信用を得られていないこと。就任から3ヶ月が過ぎ、「蜜月」期間は過ぎようとしている。金融政策での失態など目に見えた失策を演じるようだと、予想を上回る短期間での議長交代が現実味を増すことになりそうだ。

筆者が思うところ、前任者であるグリーンスパン氏が偉大過ぎる議長であったため、バーナンキ氏の評価がどうしても低くならざるを得ないところは確かにある。蜜月期間が過ぎようとしていることもあり、グリーンスパン氏と比較しての不満がそろそろ台頭し易い時期であることも確か。前任者の影に苦しむ状況は、理解できないことではない。
ともかく、それがマーケット参加者の「グリーンスパン回顧」へと繋がっている側面は否めないようだ。

しかしながら、筆者が調べてみるとグリーンスパン氏も最初から市場の信任を得られたわけではなかった。
むしろ、グリーンスパン氏も就任後しばらくは前任者であるボルカー氏の影に悩まされ続けてきた。また就任2ヵ月後の1987年にはあの「ブラックマンデー」を迎えており、その間は散々悪態を吐かれている。けれども、それを巧みに乗り切ったことで、マーケットの信用を得ることができ、そしていつしか「カリスマ議長」手腕は「グリーンスパン・マジック」と呼ばれるまでになったわけだ。
そうした意味においては、バーナンキFRB議長は前任者であるグリーンスパン氏同様に、就任直後の最初の試練を迎えているのかも知れない。ここを上手く乗り切れるかどうかがカギを握る。

ただし、グリーンスパン氏が「ブラックマンデー」を解決したように、バーナンキ議長が現在の米国が抱えている問題を綺麗に払拭出来るかどうかは未知数だ。
この秋に米国は中間選挙を控えており、しかも政権支持率が低く挽回のチャンスが欲しいブッシュ政権にとっては、残された時間はあまり多くない。マーケッの信認を早いうちにかちとれないようだと、一部で指摘されるような非常に早いタイミングでの議長交代が現実のものにならないとも限らない。(了)



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