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2006年05月31日
◎日銀6月利上げ説、実行される公算はゼロ

債券市場を中心に、為替市場の一部でも「日銀6月利上げ」思惑が浮上しているようだ。
 なぜそうしたウワサが台頭するに至ったのか、幾つか考えられることがある。それを元に、6月利上げ説の確度はどの程度あるものなのか、以下で検証してみたい。

複数エコノミストや日銀筋などの情報を総合すると、もっとも大きな要因は福井日銀総裁による発言があったのではないか、と推測される。具体的には、今月7日に当座預金残高削減終了までを「数週間」と発言したことが挙げられている。つまり、5月中にも削減を終え、次のステップに移る土台が完成することで、6月14、15日の会合でゼロ金利を解除するとの見方に繋がっている側面もあるようだ。

ただし、前述した福井発言だけは正直言って少し弱い。証券系のエコノミストによると、それに加えて「4月の東京都消費者物価指数のコア指数が上ブレしたこと」なども早期利上げ思惑を煽る一因になっていたのでは、と推測されている。
いずれにしても、実際問題として6月利上げの可能性とは如何なるものなのか。筆者が現在までに情報収集している限り、その可能性は限りなくゼロに近い。

一方で、「5月26日に発表される全国の消費者物価指数の内容次第では否定出来ない」(前述エコノミスト)との見方もあるが、筆者はそれに与しない。経済指標でいえば、全国消費者物価指数だけでなく、7月3日発表予定の日銀短観も考慮すべきものではないか、と思われる。とするなら、利上げはどんなに早くとも日銀短観発表後の7月以降、ということになる。

また、政治ファクターを考慮すると「6月利上げ」はまずありえない。そう考える理由はいくつかあるのだが、最大のものは秋に予定されている小泉首相退陣との絡み。また、そもそも論としていうなら、政府が「脱デフレ宣言」を発していないうちに、日銀が先走った行動に出られるとも思えない。

なお、ここにきて本邦株価動向が注意すべき要因として急浮上してきた。世界同時株安ということもあり、日経平均など本邦株価もご多聞に漏れず軟調に推移している。さらなる下落基調を辿るようだと、日銀にとって大きな足枷となる可能性もある。(了)



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