TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2006年04月12日
◎伊選挙に要注意、ユーロの波乱要因か

為替を中心とした金融マーケットで俎上にのぼることはほとんどないが、今月9、10日に予定されている「イタリア総選挙」には注意する必要がありそうだ。

予定されているイタリアの総選挙とは、終身上院議員を除いた上院315、下院630の全議席が改選されるという大々的なもの。
この選挙についてのポイントは幾つかあるが、なかでも注目されるのは現首相のベルルスコーニ率いる中道左派勢力が野党連合に転落するかどうか、つまり5年ぶりの政権交代が実現するか否かだろう。

ご存知の方も多いと思うが、イタリア首相のベルルスコーニ氏周辺にはかねてから金銭面でのスキャンダルがつきまとう。実際に3月10日にはミラノ検察から汚職と偽証罪に関する起訴勧告を受けているうえ、ストラーチェ保健相が野党候補の電話盗聴疑惑で辞表を提出するという出来事も起こっている。加えて、イラク派遣問題などがいまだに尾を引いており、ベルルスコーニ氏に対する風当たりは強い。世論調査で与党連合の支持率が伸びない理由は、こうした一連の不祥事にあることは間違いないところだろう。

相手の敵失もありジワリと支持率を伸ばしているのが野党連合で、発表される複数世論調査はおおむね3〜5ポイントほどの差をつけてリードしているものが多いようだ。
しかしながら、一方で判断を決めかねているとする有権者も2割を越えていることから、実際の投票まで紆余曲折が続く可能性もある。

総選挙で与党連合と野党連合のいずれが勝利を収めるのか、現段階ではまったく判らないが取り敢えずベルルスコーニとプローディ、両氏の掲げる政策を比較するとかなり対照的な内容が多く、非常に興味深い。
ベルルスコーニ氏は現職ということもあり、再選すればこれまでの基本路線を堅持することになるのだろうが、問題は政権が変わった場合だ。ブローディ氏はベルルスコーニ氏の取ってきた「親米路線」を強く批判しており、「欧州への回顧」を標榜している。

なお、為替マーケットではこの選挙を軽視する向きが少なくないが、イタリアは腐ってもG7の一角を占める国だ。仮に政権交代---などといった事態になった際には、ユーロ相場に対する影響は甚大なものとなっても不思議はないと考える。(了)



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved