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2006年04月05日
◎日銀短観は改善か、ゼロ金利解除圧力も

来週はじめの3日に発表される「日銀短観」は、かなりの好数字となる公算が高いようだ。ちなみに、足元の為替や株式市場はそれをある程度織り込んで上昇している側面もあるという。

大手シンクタンクなどが発表している3月「日銀短観」予想は、筆者が現在入手している範囲内で言えば大企業製造業の業況判断DIがプラス21程度(前回プラス19)、大企業非製造業がプラス18(同プラス17)---などとなっている。また大企業だけでなく、中小企業についても業績判断DIは前回12月短観から小幅な改善が見込まれている。
いわゆる「バブル期」にはとんでもない数字の業績判断DIを記録したことがあるものの、それを除くなかで大企業製造業による業績判断DIの20前後は、非常に良好な数字で上位にランクするもの。つまりは、日本の景気回復の足腰の強さが改めて確認される、ということになりそうだ。

本当に予想通りの数字が発表されるかどうかは別にしても、それに近い数字が発表されれば基本的には円や株価にとってポジティブな要因といって間違いない。
そもそも論とすれば、これまで発表されたGDPをはじめとする経済指標でほとんど確認されてはいたが、今回の短観が良好な数字になると「デフレからの脱却がより鮮明になる」(銀行系ストラテジスト)。また、先日量的緩和の解除を実施した日銀に対し、今度はゼロ金利解除の圧力が強まる可能性も否定出来ない。それも、上からの圧力ではなく、民間など下からの圧力だ。

実際、本来であれば市中金利に影響を及ぼすことは考えられない量的緩和解除を受けて、一部の銀行金利や国債の利回りなどが上昇しており、すでに政府や日銀に対するプレッシャーは観測され始めている。それが好数字の「日銀短観」を受けた場合、長期金利の上昇など、さらに無言の圧力が強まることは想像に難くない。

9月に勇退する小泉首相は「デフレ脱却宣言」を最後の花道としたいとの意向。それからすると、デフレの終焉は望ましいことだが早過ぎるデフレ脱却も歓迎し難い側面がある。如何なる攻防が繰り広げられることになるのか、マーケット参加者の一部はすでに良好な「日銀短観」発表後の「次の一手」に注目し始めている。(了)



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