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2006年03月22日
◎投資立国への正念場、スタンスの変化に注目

いささか旧聞になるものの、先月末に発表された日本の「経常収支」はショッキングな内容となった。それは、海外への投資に対する金利収入などがモノの売り上げなどによる金額を上回ったためだ。
実際に財務省が発表した05年の「経常収支」を見てみると、そのうち「所得収支」は実に11兆3595億円もの黒字を記録している。月額平均では、9500億円近い金額になる。

「所得黒字」の場合には貿易黒字とは異なり、為替をはじめとした金融市場の動向如何では確実に円転されるとは限らない。しかし、月間で1兆円近い黒字の発生は無視出来ないものであることは確かだと思う。為替市場における円高・円買い材料として、今後さらに注目度の高まる要因であることは間違いない。
さて、オフィシャルな数字で示されているように、日本はこれまでの貿易立国から投資立国へと色合いを変えつつあるようだ。
それを一歩進めた「経済財政諮問会議」がまとめたあるデータは、さらに興味深い内容で、具体的には2030年度に「貿易収支」が1年を通して赤字に転落なるものの、所得黒字がそれを穴埋めするという予測になっている。これが実現すれば、完全に「投資立国」へと変貌したと言ってよいかも知れない。

専門家でもない筆者は、そうした予測を覆すだけの材料を持ち合わせていないが、気掛かりなことがひとつだけある。それは、先日実施された量的緩和解除を含めた日銀の金融引き締め観測だ。
日本が前述したような「投資立国」へと変化がうかがえるようになってきた背景の一つに、長期化していた国内の超低金利という側面があったことは否めないと思う。金利がゼロであるばかりか、預金の時間外引き出しなどをすれば手数料を差し引かれ元本割れの可能性も否定出来ない状況のなか、「金利5%」「同7%」と謳われた豪ドル債やNZドル債などが個人投資家にとり魅力的に映ったことは想像に難くない。

けれども、その前提条件であった「国内低金利」は崩壊の兆しを見せている。国内金利の上昇が予想されるなか、もともと保守的な日本人が如何なる投資行動に動くのか、一時的な影響だけではなく、長いスパンの観点からもその投資スタンスは注目されている。(了)



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