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2006年03月15日
◎遠くない機会に人民元再切り上げも
通信社による報道などを総合すると、人民元に対する米国の不満はピークに達しつつあるようだ。
一例を挙げると、先月末にスノー財務長官は「われわれが求めているものは、スポット市場における為替の実際の変動で、人民元にはそれが欠けている」---などと米テレビ局のインタビューでコメントしていた。
そんな米国の不満が「形」になって現れる公算が徐々に高まりつつあり、予断を許さない。と言うのは、3月末が「シューマー・グラハム法案」といわれる「対中制裁関税法案」採決期限となっているほか、4月には米国の為替報告書も発表されるためだ。とくに前者は、同法案を議会に共同提出した議員の一部が議決延期を強く反対している。
さらに、ひとつ付け加えれば、4月初旬には中国の胡錦濤国家主席訪米が予定されている。現状であれば、訪米した国家主席に対して強い風当たりとなるのは疑いのないところだろう。
そうしたことからすると、3月末までが人民元にとってある種の正念場であると言ってよく、中国サイドがタイムリミットに向けて何らかの対応に動く公算は大きい。その最初の関門が5日から14日まで開催されている「全人代(全国人民代表大会)」であり、もっとも早ければそこで人民元の切り上げなどの措置が決定される可能性を捨て切れない。
また、国家主席の訪米に対する「手土産」的な色彩を考えれば、3月末ギリギリになり具体的な対応を示すことも考えられる。
ちなみに、3月中の人民元切り上げには経験則的な意味合いも含まれる。と言うのは、昨年7月に中国が人民元切り上げに動いたのは、今回とたいへん酷似したシチュエーションにおいてだったからだ。思い起こすと、昨年7月21日に人民元の切り上げが発表されたわけだが、これは7月27日に「シューマー・グラハム法案」採決、9月に国家主席訪米を控えたなかでの出来事だった。
これまで中国サイドは政策を小出しにしてきただけに、今回仮に実施するとしてもやはり同様に「小出し」には留まりそう。しかし、それでも再び2%程度の小幅な人民元追加切り上げなどに踏み切る可能性は残る。(了)
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