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2006年03月08日
◎「新ミスター円」に勇退説、ただ基本的には留任か

渡辺財務官があまり表立って行動することはないものの、「歴史に名を残す名財務官」(金融ストラテジスト)との声が少なくない。
そうしたなか、一部からは渡辺財務官が今夏にも勇退するのでは、との思惑が広がりつつあるという。

財務官と言えば、財務省における要職のひとつで、財務次官に告ぐナンバー2のポスト。もう少し具体的にいえば、為替や株式などをはじめとする金融行政の要ともいえる重要ポジションだ。
そんな財務官、歴代を振り返ってみると「名」の付く人物は少なくないが、為替マーケットから見て、もっともインパクトの強かった人物とは恐らく榊原英資氏ではなかろうか。榊原氏を知らない方はいないと思うが、仮にそうした人でも榊原氏の通称である「ミスター円」という呼び名はご存知だろう。日本だけでなく、海外においてもとかく名の知られた人物である。

さて、現在の渡辺財務官はと言うと、一見地味なイメージがあるものの、実はかなりの辣腕。そうしたこともあり、一部からは前述した榊原氏の向こうを張った呼び名として、「新ミスター円」とも呼ばれているほどだ。そんな「大物」である渡辺財務官の勇退説が一部で囁かれているという。
こうした思惑が出ることそのものは、本音を言えば決して珍しいことではない。

理由は幾つかあるのだが、そのひとつは任期の問題だ。明文化はされていないものの、財務省における主要ポストの任期は通常2年。前述した榊原氏も財務官としての任期はキッチリ2年でまっとうしている。
渡辺氏が財務官に付いたのは04年7月であるため、今年の夏でちょうど2年が経過する。それからすると、確かに勇退の可能性は否定出来ないかも知れない。

しかしながら、当然ながら過去にも例外はあった。古くは86年に財務官となった行天豊雄氏が通常よりも1年長い丸3年務めているほか、最近では榊原氏のあとを継ぎ99年に財務官となった黒田東彦氏は03年まで実に3年半もの長期で職を務めている。
筆者が収集した情報によると、渡辺財務官が勇退し、そこに現在の国際局長である井戸氏が就任する公算もゼロではないが、基本路線は任期延長のようだ。杞憂は飽くまで杞憂に過ぎないと見られる。(了)



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