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2006年02月22日
◎米国でHF規制発効、ただ課題はいまだ多し

米国のヘッジファンドに対する規制が今月1日発効することに併せ、一定基準以上の資産を保有する先は登録が義務付けられることとなった。具体的には、資産3千万ドルドル以上、顧客15人以上のヘッジファンドは登録する必要がある。

ヘッジファンド登録は規制発効前から行なわれているが、SEC(米証券取引委員会)が先日発表したところによると、1月31日現在でわずか700社あまりとかなり低調な状況だ。ヘッジファンド全体の6〜7割の登録を目指す、とSECは意気込んでいるものの、このままでは達成が危ういとの見方も少なくない。

ヘッジファンドといえば、資産運用などでブラックボックスの部分が多い。実際、筆者がコンタクトしている、ある米系のヘッジファンド幹部も「顧客と約束したリターンを挙げるためにはなんでもしてきた。極端な話、非合法な取引をやったこともある」---と指摘している。
今回の規制は、そんな不正行為を監視し、少しでも防止できればとSECが考え出したものだ。

しかし規制を別の視点で見れば、定期的な監査報告書の提出や法令順守計画の作成など大幅な情報開示が義務付けられるなど、事実上SECの傘下に加わることを意味している。そのため、「好悪両面あるけれどもヘッジファンドらしい独立性、独創性が損なわれる」(前述ヘッジファンド幹部)などとして、法規制から逃れる策を講じるファンドもあるという。
実際には、前記した資産3千万ドル以上、顧客15人以上---などの条件を下回れば規制の網に掛からないわけで、昨年末ぐらいから顧客数を絞り込むなど運用規模縮小に動いているヘッジファンドも少なくないとされる。業界の全体に法規制という「網」を掛けることはなかなかに難しいものがあるようだ。
規制の骨抜きとまでは行かないものの、登録制度が成功するかどうかはまだ微妙なところ。意図的な規制逃れに対応した、さらなる強化をはじめ、SECの次の一手が早くも注視されている。

なお、登録を済ませたヘッジファンドに目を向けると、SECの監視下に入るわけだが資金運用業務という仕事の形態そのものには大きな変化はない。少なくとも、マーケット的にあまり影響の出ることはなさそうだ。(了)



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