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2006年02月15日
◎モスクワG8は期待外れの結果に
今週末10、11日にモスクワで8ヶ国財務相会合(G8)が開催される。ロシアは97年にサミットの正式メンバーに加わって以来、今回初めての議長国という大役を務めることになる。
ロシアがサミットに初めて参加したのは、91年のロンドンサミットだった。しかし記録的には、「サミットに参加」したわけではなくサミットとは別に米国をはじめとする当時のG7首脳と会談した、という格好になっている。扱いとしては、「G7プラス1」との内容だ。
それから15年、正式メンバーとなったロシアは自国でG8議長国という大役を務めることになった。西側との対等をアピールする絶好のチャンスということで、プーチン大統領以下ロシアサイドはかなりの気合を入れてきているという。
前述したように、ロシアサイドからみると大変に重要な会合になるものの、それ以外の国である「西側諸国」ではむしろシラケムードのほうが強い。
何故なら、今回は財務相だけの会合で、各国中銀総裁が参加を見送るというスケジュールのためだ。少なくとも、これでは為替を中心とした金融関係についてまともな議論が実施され、また結論が下される公算は小さいと言ってよいだろう。ましてや、中国人民元に関する話などは言うまでもない。
事実、今回の議題について、ロシアサイドは「途上国の教育支援や鳥インフルエンザなどの感染症対策」としているほか、日本の渡辺財務官は今月1日「エネルギーと原油、マクロ経済を議論することになる」と会見で述べている。
ちなみに、渡辺財務官は前述の発言とともに、「マクロ経済の議論で為替に触れる内容が出るかもしれないが、メインの議題にはならない」とも指摘している。
ただでさえ、「自由」や「市場経済」を共通の価値観とする米国など旧G7諸国と、ロシアでは考え方に大きな隔たりがある。そのため、G8諸国が一致し有効な手立てを打ち出すということが、なかなか見込みにくいという環境下、予定されている議題が上記のものでは率直にいって肩透かしの感は否めないように思われる。
多大な期待を持つことは禁物で、終了後のマーケットへ与える影響も限定的と考えるべきかも知れない。(了)
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