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2006年02月08日
◎イラン発「地政学リスク」、IAEA緊急理事会注目
イランの核開発問題がマーケットにおいて「地政学リスク」を呼んでいる。
今回のイランの話で、3年前のイラクを思い出す方も少なくないと思われるが、専門家のあいだからは幾つかの理由で当時よりも危険性が高いとの声も聞かれている。そのひとつは、イラクよりも広い国土のうえ、開発施設が各地に分散されていると推測されること。よって全貌を掴むことが困難であるだけでなく、「開発計画の廃絶」には相当の時間や資金並びに努力が必要だと言われている。
そんなイランに対し、米国を中心とした国連は経済制裁の発動をチラつかせている一方で、イラン側は「保有資産のポートフォリオ変更」を対抗策として示唆している。後者については当局から否定のコメントも聞かれたが、それでもマーケットでは一時期ユーロ/ドルの上昇に寄与していた一面があることは間違いところだと思うし、今後の動向についても注意する必要がありそうだ。
なお、イラン核開発問題について、今後の争点となるのは本日2日に開催される「IAEA(国際原子力機関)」の緊急理事会か。そこで国連安保理に付帯するかどうかが議論されることはまず確実。可決となれば、国連安保理による経済制裁の発動が現実味を帯びることになる。
そうした経済制裁とともにジワリと危機感が強まりつつあるのは、欧米諸国による対イランへの武力行使。
もちろん、まだ具体的な話にまで進展はないものの、イランが今後も核開発を進めた場合などにはその可能性を否定出来なくなる。実際、先月18日に終了した中東サウジアラビアなどペルシャ湾岸6ヶ国で構成する「湾岸協力会議(GCC)」では、対岸に位置するイランからの悪影響について懸念が相次いだとされている。即効性のある具体的な対応は見つからないが、最悪のケースに突入する可能性も孕んだ危険性の高い状況に置かれていることは間違いなさそうだ。
ただし専門家の話によると、イランに対する武力行使の可能性は予想以上に難しい面があるらしい。
そのひとつの理由は、前述したように「開発施設が各地に分散されていると推測される」こと。仮に地上戦を繰り広げるとなると、イラク戦の2倍の兵力が必要との試算もある。(了)
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