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2006年01月25日
◎中銀の外準構成比率、変更思惑に要注意

中央銀行による外準のポート変更は、一昨年ぐらいから徐々に観測されているが、ここにきて再び通信社電などを賑わすようになってきた。
いま現在筆者の手元にあるものだけでも、今月5日には中国が急速に増えている外準の有効活用を模索していく方針を示したうえ、同8日にはアルゼンチンの中銀当局者が外準ポートでユーロなど米ドル以外の通貨への投資も活用する方針を明らかにしたと言う。

実を言えば、筆者は前者よりも後者の動きに興味を抱いている。
と言うのも、これまで外準ポートの変更を打ち出している先は、主に中東、東南アジア、ロシアなどであったからだ。南米は「米国の裏庭」と言われているように、地理的に極めて近いことで貿易面でも米国とは密接に結びついており、したがって外準ポートについては長らく米ドル偏重が続いてきた。
それを見直すということは、劇的な変化であると言ってよく、非常に興味深い点と言えるだろう。追随する国があるかどうかなどを含めて続報には要注意か。

しかしながら、話をこと為替市場への影響とすると、逆に後者の話はあまり注視する必要がない。何故なら、外準の保有金額が小さいためで、実際アルゼンチンは200億ドルにも満たない。例えば、うち1割を米ドルからユーロに振り向けると言っても発生する為替はわずか20億ドル以下。それを何日かにわけて処理するとすれば、影響はきわめて軽微なものに留まるといって良さそうだ。

それに対して、前者である中国の動静はニュースとして正直新味はない。しかし別途報じられているように、現在の中国が保有している外準は8000億ドルを超える世界二の規模だ。その1%でも80億ドル、5%ならば400億ドルもの為替が発生することになる。この金額になると到底無視出来ない。

そうしたなか5日の報道については、中国人民銀行の唐旭局長が10日に「外貨準備におけるドル資産を売却して多様化する可能性は小さい」と否定コメントを発し、火消しに動いた。
目先的には、取り敢えずこれで落ち着きを取り戻すことになるのかも知れないが、基本的なところでの思惑は今後もくすぶり続けそう。引き続きその動向には要注意か。(了)



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