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2005年12月21日
◎円安容認は本当か、米産業界は不満だらけ

今月はじめ、ロンドンでG7会合が開催された。その後、会議に出席した日本側の要人から「円安容認」ともされる発言がでたことで、マーケットは円の独歩安商状が強まっている。
しかしながら、筆者が複数の情報筋から得た意見を総合すると、あまりそう短絡的に捉えることは危険であるのかも知れない。少なくとも、米国の産業界から円安に対する不満が急速に強まりつつあることは間違いないようだ。

憶えている方もいると思うが、興味深いことがG7の直前に実はあった。それは、スノー米財務長官による「日本経済と円安、G7で話し合われる見通し」---との発言だ。ご存知のように、発言が一部メディアで流れたあと、すぐさま米財務省が「スノー財務長官は円について何もコメントしていない」と否定のコメントを発し火消しに動いたため、値動き的には一時的な変動だけで済んだことは、まだ記憶に新しい。
このスノー発言について、「メディアの勇み足」あるいは「誤解・曲解」という意見が主流を占めているようだが、筆者の取材によると発言そのものは実際にあったらしい。ただ、それがすかさず米財務省により封じられた、というのが真相のようだ。

スノー財務長官は出身が米産業界と言うこともあり、為替相場の動静とくに円安というものに神経質な傾向がある。したがって、現在のような円安それも独歩安商状をあまり好ましく思っていないことは、想像に難くない。前記の発言も、そうした根底にあったものがつい口をついて出た、ということかも知れない。

しかしながら、米財務省がスグに発言を否定しており、それからすると確かに米国としても取り敢えず円安を許容しているフシはうかがえる。
その最大のものは、日本からの資金流入期待。米国の財政赤字をファイナンスする対象として、もはやオイルマネーや日本の財務省介入には期待が出来ない。「頼みの綱は中国と日本の個人」との見方が、ストラテジストの間などでは一般的だ。それには実勢相場におけるドル高・円安が避けられない。

ただ、それには米産業界からの反対も根強く、あまり積極的な姿勢でないということを留意しておく必要があるだろう。過信し過ぎると、思わぬところで足元をすくわれる可能性もあると考える。(了)



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