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2005年12月14日
◎円の実質価値暴落、1ドルは160円以上?!
通貨の実質的な価値を示す指標である「通貨実効相場」については、筆者は当紙においても過去に何度かレポートしている。
しかし、その多くがFRBの発表している通称「FRBインデックス」と呼ばれる米ドルに対してのもの、あるいは日経新聞が独自に算出している円についての通貨インデックスの分析だった。が、今回は日本の通貨当局である日銀が発表している「通貨実効相場(以下、日銀インデックス)」についての話をしてみたい。
そんな「日銀通貨インデックス」の最新データが先日、日銀から発表された。前置きがいささか長くなってしまったが、それは非常に興味深いデータであった。
ドル/円の実勢相場をみると、円は確かに弱いけれどそれでもまだ120円をようやく超えたばかりの水準だ。
ところが、発表された実質的な価値を示す円の実効レート(「日銀通貨インデックス」)は今年11月(17日までの平均値)で106・2となっており、これは1ドルが160円を記録した90年4月を下回る水準となった。さらにいえば、85年「プラザ合意」以来のレベルまで落ち込んでいることを示す。
つまり、ドル/円単体で見れば120円程度のレベルにあるけれど、クロスまで含めた円の価値は暴落中であり、1ドル200円近いレベルに達しているといっても決して言い過ぎということはないだろう。
いずれにしても、実際の円安は見掛け以上に進行していることに間違いはない。
こうしたことを、筆者は以前から「ヤリ過ぎ」や「行き過ぎ」あるいは「オーバーシュート」などと指摘しているわけだ。足元の円全面安がスグに止まるもしくは反転するというわけではないにしても、実効相場からするとかなりの警戒感が必要なレベルに達していると考える。
改めて指摘するまでもなく、円安というものは日本にとって基本的にポジティブな要因ではあるし、米国サイドも目先は容認しているフシがうかがえるものの、なんでも物事には限度というものがある。
「日銀通貨インデックス」を見る限り、その許容範囲を超えつつあるように思う。気が付くと、日本の貿易に対する風当たりが再び強まっていた---と言うような状況が今後起こらないとも限らない。 (了)
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