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2005年12月07日
◎G7でドル高容認か、ただ一部に死角も

今週末に英国のロンドンで「G7(先進7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議)」が開催される。その席でメインテーマではないものの、為替市場におけるドル高も協議される見通しだ。

G7会合において、人民元が俎上に上ることがあってもドルの強さが話題になることはここ最近なかった。しかし、周知のようにドルは対ユーロ、対円をはじめとして現在独歩高の様相にある。ユーロ/ドルは2ヶ月間におよそ8%、ドル/円はと言うと実に10%を超えるドル高進行となっている。
こうした事態が適正であるのかどうかについて、G7で議論されると見られるが過去の経緯からすれば、至極当然のことと言えるだろう。

さて、そんななか先日ロイター電が「G7筋」とする人物の発言を報じた。そのなかには「ドル高は進んでいるが、それ自体は問題ではない」、「ユーロ安はECBにとって不快なものではないとの認識」---などといったコメントが見て取れる。
実を言えば、ニュースソースは違うと思うが筆者も当局者への取材で同じような話を聞いている。先日発表された対米証券投資が過去最高の買い越しを記録したように、海外からの資金流入を期待したい米国としてはドル高方向が望ましい。それに対して、景気の基盤が脆弱な欧州はユーロ安を嗜好しており、また日本も円安が望ましいと考えていることは言うまでもないと思う。
つまり、「ドル高」「ユーロ安」「円安」は皆の思惑通り、全員ハッピーという極めて珍しい展開なわけだ。

そのため週末のG7会合でも、確かになかなか異論は出にくい状況であることには間違いないが、「死角」がまったくないわけではない。
そのひとつは、スピード的な問題だろう。危機的なところまでは達していないが、それでも前述したようにドル高の進行はかなり早い。これについて若干の異議が差し挟まれる可能性はある。

また、現状のドル高が問題ではないとしても、先々どこまでのドル高が容認出来るのかという問題もある。たとえば少し長いスパンで見れば、ドル/円は120円以上、ユーロ/ドルも1・15ドルを割り込む展開はもはや想定内。そうした一段のドル上昇が進行した際、G7諸国が寛容に構えられるかどうかにもやや疑問が残る側面は否めない。(了)



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