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2005年10月26日
◎思惑呼ぶ「ラマダン」、金融市場へ影響も

一部ファンド・マネージャーなどのあいだでは、イスラム教における「ラマダン」が思惑を呼んでいる。なお、肝心の「ラマダン」は今月5日から開始された模様だ。

「ラマダン」はいわゆるイスラム暦の第9月を指す。もう少し具体的な話をすると、「9ヶ月目の新月からラマダンに入る」と言われているため、判り易いように我々の西暦と併せて指摘すると、カレンダー的には10月5日から11月2日までが一応その期間にあたる。
前段の期間について、筆者は「一応」とやや曖昧な言及をしたけれど、実際の話「ラマダン」の期間というものは非常に曖昧なものなのだ。と言うのも、「ラマダン入り」も「ラマダン明け」も最終的にはイスラム最高権威(聖職者)の宣言によって決まるためで、1日や2日ズレ込むことも過去には珍しくなかった。そうした意味においては、かなりファジーな取り決めになっていると言えるかも知れない。

ともかく、その「ラマダン」が一部のファンド・マネージャーのあいだで大きな思惑を呼んでいるといわれる。
これは、ご存知のように「ラマダン」期間中は日の出から日没まで一切の飲食、性行為も禁じられるほか、商行為においても一定の枷がはめられることになるからだ。つまり、ここ最近の金融界を席巻している「オイルマネーの動意が急速に細る」(米系ヘッジファンド関係者)可能性も否定出来ないことになる。

もっともその一方で、「ひとくちにオイルマネーと言っても、昔であればいざ知らず、いまでは欧州の資産運用会社やヘッジファンドを経由している。そのため目立った影響は考え難い」(証券系ストラテジスト)との見方もある。これは、ある意味で正論といえよう。
がしかし、筆者の乏しい経験からしても、実は意外に無視出来ない要因なのだ。実際、70年代や80年代だけでなく、90年代以降でも「ラマダン」期間中にオイルマネーの動意が鳴りを潜めたということもあったとされている。キリスト教を上回る信者を抱えるイスラム教のイベントであるが故に、金融のみならず経済活動全般に「ラマダン」が及ぼす影響というのは、やはり要注意と言えそうだ。
取り敢えずは、マーケットのリスクとして頭の片隅にでも留めておかれたい。(了)



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