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2005年10月05日
◎本邦貿易黒字激減、圧し掛かる原油高
為替市場における「古くて新しい」問題のひとつに、「日本の貿易黒字」と「米国の貿易赤字」がある。
後者については相手国が日本から中国に変わり、それが延いては中国人民元の切り上げ問題・圧力へと繋がっていることは周知のことだと思う。その一方、前者についても最近新たなうねりが観測された。
具体的には、先日発表された日本の8月貿易収支によると、黒字額が1163億円と前年同月比で実に80%近くもの激減していることが明らかになった。これは輸出の伸びに比べ、輸入が大きく伸びたことによるものだ。
では、なぜ輸入がそれほどまでに伸びたのか。
「輸入」の内容をさらに詳細に見てみると、やはり原油高の影響を大きく受けていると言わざるを得ない。実際、「中東」地域からの「原油並びに粗油」は金額ベースで1年前から46・6%もの伸び。金額ベースでは月間2500億円ほどの増加ということになる。また「中東」地域以外、たとえば「ロシア」地域や「ASEAN」地域からの、同じく「原油並びに粗油」の伸び率も大きくなっていた。
確かに、WTIの価格を見ると1年前の8月は40〜45ドルで推移していたが、今年の8月はと言うと一時70ドル台を越える局面も見られるなどほぼ一本調子の上昇。単純考えても価格は7割ほどのアップであり、それからすれば前述したような貿易収支に与えた影響というものも、ある意味致し方ないのかも知れない。
ともあれ、今回の貿易収支に如実に示された原油高の影響は衝撃的だ。このまま原油高が続けば日本の貿易収支が赤字に転落する可能性もある。
その肝心の原油価格はと言うと、IEA(国際エネルギー機関)による加盟国の戦略石油備蓄放出決定などにより一旦は落ち着きを取り戻していたが、大型ハリケーンが米国を相次ぎ襲来しているとのニュースから再び上値をうかがう展開になっている。また日本はこれから冬に向かい、原油の需要期になることも原油の高止まりを示唆する一因と言えよう。
そうしたなか為替市場へと目を転じれば、本邦貿易収支ひとつき分の数値だけで断定することは出来ないが、長年円高を支えてきた日本の貿易黒字がいよいよ剥落し始めているのかも知れないことには注意する必要がありそうだ。(了)
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