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2005年09月28日
◎「カトリーナ」被害は米国の政治問題へ

超大型のハリケーンである「カトリーナ」がメキシコ湾岸の製油所などを直撃し、大打撃を与えたことは記憶に新しい。
ご存知の方も少なくないと思われるが、これまで最悪の被害と言われたハリケーンは92年の「アンドリュー」で、損害保険会社が支払う保険額はおよそ210億ドル相当だったが、今回はそれを上回る規模になることが確実視されている。一説によると、そのときの2倍を優に超えるのでは、とも言われている。ともかく大変な金額だ。

そんな台風の爪あとが米国経済に影響を与えることは予想に難くなく、すでに日本の新聞やニュースでも「社会問題」あるいは「経済問題」として取り上げられることが少なくない。しかしながら、被災された方には大変に失礼ながら、筆者は「経済問題」という観点からはあまり問題視していない。
それは以下の3つの理由からだ。紙幅の関係もあるので、以下でごくごく簡単に説明しよう。
@昨年も8月以降の2ヶ月間で「チャーリー」や「アイバン」など4つの大型台風が米国を襲ったが、その際の復旧は予想よりも早かったこと。A一時的な景気減速は避けられないかも知れないが、その後はいわゆる復旧需要などが見込まれること。B被害の中心であるルイジアナ州の経済規模は全米において2%程度とごく小規模であること---。

けれども、ハリケーン問題は今後「政治問題」として問題視され、それが尾を引く可能性は否定出来ないだろう。実際問題、そうした点は一部で公表されているブッシュ大統領への支持率低下に示され始めているようだ。とくにこれは州別の支持率をみれば明らかであり、ブッシュ政権の危険度が如実に判る。

そもそも論として、今回被害を受けた「ディープサウス」と呼ばれる地域(アラバマ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州など)は、典型的な共和党支持で知られるところ。しかしながら『ギャラップ社』の世論調査によると、アラバマ州はやや例外として残り2つの州は大統領支持と不支持がほぼ拮抗するまでに至ってしまっている。
これは、現在2期目で次の選挙がないブッシュ氏とは言え、安穏としていられるような状況ではない。とくに支持母体である共和党としては、きわめて由々しき状況にあると言えそうだ。(了)



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