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2005年09月07日
◎米政治リスクも要注意、休会開け米議会に注目

周知のように9月11日には日本で衆院選挙が行なわれるほか、その翌週である18日にはドイツで総選挙が実施される。
前述した日独の両選挙とも政権交代の可能性が否定出来ないという極めてシビアなものであり、とくべつ政治に関心がなくとも注目してしまうようなものと言えよう。

その一方、米国の政治情勢に注意を払う向きは少ないようで、基盤は磐石のような指摘をする方もいる。確かに、今年は米大統領選と中間選挙の「端境期」であるため、そうした意味では懸念する要因はないのだが、果たして安穏としていて良いのだろうか。個人的にはそう思わない。
以下で、米国にも台頭している政治リスクについて次の2つを指摘しておきたい。

まずは、ブッシュ大統領の「強行」したボルトン国連大使承認問題だろう。これについて弊社の正規レポートでは何度も報じているのでここではごく簡単な説明に留めるが、ブッシュ大統領は議会休会中に「リセス・アポイントメント」と呼ばれる奇策を用いた。
これは議会が休会中に大統領が指名人事を強行することを指す言葉で、もともとは緊急事態に備える手続きを言う。議会の承認なしで18ヶ月間と従来よりも機会は短縮されるが、その任務に就くことが出来る。

しかし、これには大きな問題が幾つかある。そのひとつは、前記した解説文を一読されれば判るように、時限付きとはいえ議会を無視した格好での承認であることから、野党のみならず下手をすれば与党サイドからも批判の声が挙がると見られること。過去の「リセス・アポイントメント」のケースを見ると、「なんのために議会があるのか」といった紛争に発展することが少なくない。
実際、すでに野党民主党議員からは「上院の指名承認という憲法規定を回避したよこしまな策略」---などと激しい非難の声が聞かれている。9月第2週から再開される米議会が紛糾することは確実な状況で、予断は許さない状況となる可能性もある。

そしてもう一点は、来年1月に任期の切れる「グリーンスパンFRB議長の後任問題」。こちらは一部議員からグリースパン氏へ議長職延長要請なども出ていると言う。
まだ幾分時間的な猶予があるとは言え、その動向が要注意であることに変わりはない。(了)



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