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2005年08月31日
◎ヘッジファンドの収益改善へ、マクロ型が牽引

不振に喘いでいたヘッジファンドの収益が大きく改善しているようだ。一部からは98年に起こった「LTCM危機」の再来説も指摘されていただけに、ホッとしているマネージャーたちも少なくないと見られる。

ヘッジファンドの不振が大きく取り沙汰されたのは今年の4、5月ごろで、その原因となっていたのは米国を代表する自動車会社の『GM』だった。『GM』の業績不振を受けて同社格付けがジャンク債レベルにまで引き下げられたこともあり、「社債を持っているファンドが手痛い損失を被った」などと言われたことがキッカケで、それにFRBによる断続的な利上げが追い討ちを掛けた。
そんな「ヘッジファンド不振」が当時の英FT紙などでも報じられたことは、まだ記憶に新しいところだろう。

しかし、5月をボトムにヘッジファンドの収益はジワリと改善され始めてきた。これは『ヘッジファンド・リサーチ』など幾つかの調査機関からもデータとして公表されているほか、筆者の知人である在米ファンドマネージャーなども口を揃えてそう指摘する。ただ、調査機関の結果と若干見方の異なる点は、「意外にマクロ系ファンドのパフォーマンスが良さそうだ」---と考えられていることか。

そうしたなか一方では、せっかく回復基調にあるヘッジファンドのパフォーマンスだが、NYなどでは早くも腰折れを懸念する声が聞かれ始めた。懸念要因として挙げられているものは、不安定な値動きを辿っている米株で、これが足かせになるのではとウワサされている。
そもそも論として、ご存知の方もいると思うが、米ウォール街では経験則に基づいた「9月の株式市場は年間で最悪」---とのジンクスがあることなども気になる要因だろう。

とは言え、ひとくちに「ヘッジファンド」といっても様々なタイプが存在する。前述した「米株安」のシナリオは「マクロ」タイプなどにはややネガティブなものだが、「ロング・ショート」やあるいは「エマージング」ファンドにとって逆にポジティブな要因とも考えられる。
つまり総じて言えば、ヘッジファンド危機は去ったと言ってもよく、全体を俯瞰すれば逆襲のチャンスを虎視眈々と狙っている状況にあるのかも知れない。(了)



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