TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2005年08月24日
◎サウジのスタンス変化、ファハド国王死去で

ここ最近の為替市場では、中東筋によるユーロ買い・ドル売りが注目を集めている。なかでも目立って聞かれるのはサウジアラビアの動意だ。実際、今月はじめの英FT紙では市況面にて、「サウジアラビアが15〜50億ユーロのユーロ買いを行っていたようだ」との見方が紹介されていた。

先月末には1・20ドル前後で推移していたユーロ/ドル相場だが、ここのところは急激なユーロ高・ドル安となっている。今月半ばには、一時1・25ドルに迫る局面も見られている。
そんな一段のユーロ高・ドル安を増長させている直接的な要因として挙げられているもののひとつが中東筋による積極的なユーロ買いというわけだ。ロシアや東南アジア諸国などと並び、外貨準備高に占めるドルのポートフォリオを引き下げる反面、ユーロの比率を高めた結果として為替市場においても断続的なユーロ買いに動いていると言われている。
前述した英FT紙報道を持ち出すまでもなく、いわゆる「中東筋」のなかにサウジアラビアの名前が含まれていることは言うまでもない。ただし、興味深いのは今月1日に同国のファハド国王が死去して以来、為替市場での動意が目立っているということだ。

改めて指摘するまでもないことだが、前国王のファハド氏は「親米家」としてならした人物だった。それに対して、今度新国王に就任したアブドラ皇太子も前国王の路線継承を表明しているものの、発言などを見ると少なくともファハド前国王ほどの「親米家」とは言えないだろう。
それからすると、資産運用のスタンスに若干の変化と言うか修正があったのかも知れない。ファハド氏による資産のドル編重ポートフォリオを見直し、ユーロなどに一部資産を振り分けている可能性もある。

真相は藪の中だが、サウジアラビアといえば世界最大の産油国であり、保有している資産も莫大だ。とくに、ここにきては原油価格の高騰が続いていることもあり、ますます資産が蓄財されている公算が高い。
たとえウワサベースの話であっても、金額そのものが大きいため、動向は無視出来ない要因だろう。真偽を含めて、今後の動向が要注意であることに間違いはない。(了)



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved