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2005年08月03日
◎中国人民元問題、短期的には出尽くしか

先月21日の東京時間20時ごろ、中国が突然の人民元切り上げを発表した。

ご存知の方も多いと思うが、切り上げのタイミングについては「8月説」が有力視されていた。これには、10月に「米為替報告書」が発表されるということがまずある。半年に一度報告される前回同書で「次回までに何らかのアクションを起こさないときは“為替操作国”に認定する」---と警告されていただけに、遅くともそれまでに実施されることは確実だったからだ。
また、9月には中国の胡国家主席が米国を訪問することから、訪米に向けた「手土産」的な思惑も根強く、それが「8月切り上げ説」の大きな論拠になっていた側面は否めない。

結局、中国は7月21日と「誰もが予想し得なかった」タイミングで通貨の切り上げに動いたわけで、行為そのものについては評価する要人コメントなどは少なくないが、最大の問題ともいえる切り上げ幅について「満足している」といった声は皆無だった。
筆者も切り上げ直後から、複数の為替ディーラーに取材しているものの、「2%では不十分」「まだ最初の一歩」「来年に掛けて再び人民元は切り上げられる」---などといった声は大勢を占める。確かに、米国政府は中国に対して10%程度の切り上げを要求しており、それからしても追加切り上げの余地は大きいと言えそうだ。

さて、そんな「中国人民元切り上げ」が今後のマーケットへ与える影響についてだが、同日の乱高下で基本的にはほぼ織り込み済みと見られる。もちろん、それなりの「余震」は否定出来ないが、「本震」を超えるほどの波乱が起こる危険性は極めて低いと考える。

ただし、気になることもひとつある。それはグリーンスパンFRB議長も21日の議会証言で述べたように、「中国の人民元切り上げにともない、市場では中国の債券購入形態変化の憶測が生じている。債券市場への影響が予想される」---こと。もう少し具体的な言い方をすれば、通貨バスケット制の導入により中国による米債購入が減少する可能性を否定出来ない。
これは考えてみれば、ある意味当然のこと。日本に迫る大規模な外貨準備高を抱える中国が介入を見送り、延いてはそれを原資とした米債買いも見送るとなれば、別の次元の話として今後の金融市場に影響が出ても不思議はない。(了)



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