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2005年07月27日
◎古くて新しい「日米自動車摩擦」問題

「日米自動車摩擦」---といえば、90年代に為替市場でも一世を風靡したテーマだが、ここにきて再び脚光を集め始めている。
弊社が発行しているレターでは過去に何度か報じているように、在米外交筋によると「米国最大の通商問題はミシガン(自動車=日本)ではなく、ノースカロライナ(繊維=中国)との認識になっている」ものの、先日米自動車大手の地元選出下院議員が業界保護のため、米政府による補償を求める法案を提出するなど、その動向は徐々にキナ臭さを増してきた。

日本最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車が日米貿易摩擦に強い危機感を募らせていることは、その動向を見れば明らかだ。たとえば、今月1日に「プリウスなど4車種を米国で値上げする」と発表したことに、その一端は見て取れる。これが「米国車支援」などとして、論争を呼んだことも記憶に新しいだろう。
米国で値上げに踏み切るほどトヨタが危機感を募らせている背景のひとつには、現地生産比率が低いことが挙げられている。ホンダや日産が80%に達しているのに対し、トヨタは約60%と20%も低い。3年計画で75%程度にまで引き上げる方針を掲げてはいるものの、達成については疑問視する声もある。

一方で、トヨタ以外のメーカー、前述した現地生産比率の高いホンダや日産では摩擦が生じていないのか、と言うとそんなこともない。事実、米自動車貿易政策協議会からは「日本の為替(円売り)介入は日本車への事実上の輸出補助金に当たる」---などする、半ば“言い掛かり”に近い発言も聞かれており、やはり日本のメーカーは標的だ。

では一体なにが問題なのかと言うと、有力自動車アナリストの一人は、いわゆる日本叩きの背景として「隠れテーマ」の存在を指摘する。
その「隠れテーマ」を具体的にいえば、ガソリン車に変わる「次世代燃料車の開発の遅れ」で、それが米ビッグスリーを苛立たせている側面を否めないとしている。

いずれにしても、仮にそうだとしたら問題の根は思っている以上に深い。短期間で容易に解決するようなことはないだろう。そして本来のテーマではないものの、為替がそれに呼応する格好で右往左往する展開はまだ当面続くのかも知れない。(了)



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