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2005年07月20日
◎HFへの危機感強まる、運用成績も低迷

NYからの情報によると、米国ではヘッジファンドに対する危機感が急速に強まりつつあるという。

今年上半期、多くのヘッジファンドで運用が上手くいかなかったことは改めて指摘するまでもないと思う。6月までの金融市場を振り返ってみると、ユーロを中心とした為替や原油・ゴールドを中心に商品相場も確かに荒れ相場だったが、それ以上になんといってもクレジットデリバティブ市場で損失を被ったファンド筋は少なくない。
米自動車大手の「フォード」と「GM」の信用格付けがジャンク債と呼ばれる投機的格付けに引き下げられたことなどもあり、クレジットデリバティブ市場は予想外ともいえる値動きを引き起こしたことは記憶に新しいところで、多くのファンドにとってこれは「想定外」のものだった。ただでさえ、ヘッジファンドの運用担当者が頭の痛い状況に置かれていることは間違いない。

そうしたなか、NYのファンドマネージャーのあいだでは「ヘッジファンド主導で行なわれてきたマネーゲームはまもなく終焉を迎える」などといった声が聞かれ始めた。
トリガーを引くと思われるのは、段階的に実施されている米国の利上げ。先日実施されたFOMCの声明文でも「慎重なペースで利上げを継続する」---などと記載されており今後もしばらくは利上げが続けられると推察される。

なぜ米国の利上げがヘッジファンドにとって逆風になるのかというと、「資金の提供者はこれまでのようにヘッジファンドに資金を預け、リスキーな運用を頼まなくても金利だけで十分贅沢な暮らしが出来るようになる」(在米ヘッジファンド関係者)ことによる。
確かに、銀行の預金金利や債券の額面利率が1%以下ならば、ヘッジファンドに資金を預ける意欲も湧くが、それが3%、4%へと引き上げられれば果たしてどうだろうか。ましてやそれがヘッジファンドに比べて格段の低リスクになるとすれば。個人の富裕層などがヘッジファンドにワザワザ資金を預けておく必要はあまり感じず、むしろ今後は引き上げる可能性も否定出来ないと思われる。

運用成績の低迷に加え、米利上げ継続と、現在のヘッジファンドは二重の意味で苦境に立たされ始めている先が少なくないようだ。(了)



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