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2005年07月06日
◎注目集め始めた「所得収支」

相場動向をみるうえで重要視する要因は、テクニカルやファンダメンタルズ、金利差など為替ディーラーを始めとする市場参加者でそれぞれ異なる。
筆者は基本的に需給が最優先、というか言い過ぎを覚悟でいえば相場変動は需給がすべてだと考えているのだが、それはさておき需給の大局を図る上でここ最近になり無視出来ない新たな潮流が観測しはじめている。

通常需給といってスグに思いつくものは輸出入の貿易に関するもの、つまりは「経常需給」だろう。改めて指摘するまでもなく、日本は世界有数の輸出大国で膨大な貿易黒字を毎月計上している。その額は月間およそ1兆円強だ。
と言うことは、これが為替市場にとっても円買い需要と考えて差し支えなく、実際これが過去十数年にわたり円高傾向を下支えしてきた一因と言われている。
それに対して、需給には「資本需給」というものもある。これは機関投資家や個人投資家などが外国債や外株を購入したり、また逆に外国人投資家が日本株を購入したりする内外の投資金額を差し引きした数字だ。そのため、当然為替市場における影響の大きさは言うまでもないだろう。

さて、これまで需給の動向といえば大雑把に上記2つを見ていれば問題はなかったのだが、ここ最近話題になり始めた需給がある。それは、貿易収支などとともに財務省が毎月一度発表している「国際収支」に示される「所得収支」というヤツだ。やや古いデータになるが、たとえば今年2月のデータ(速報)によると、1兆795億円にも達している。つまり、2月に関して言えば、貿易黒字に匹敵するだけの「所得収支(黒字)」があったことになるわけだ。

では、前述した「所得収支」とはいったいなにを指しているのだろうか。
実はこれ、日本の機関投資家などが保有する外貨資産の配当や利金などを合算したもの。これまでは専門家のあいだでもあまり重要視されてこなかったものだが、月間貿易黒字に匹敵する「月間1兆円の利金」はいくらなんでもないがしろには出来ない。
その影響については未知数だが、確かに市場では月半ばになると「利金の円転」などが話題になることは少なくない。今後の動向にも注意する必要があるだろう。(了)



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