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2005年06月15日
◎再び注目を集め始めた「米住宅バブル」

筆者はかねてから「米住宅バブル」の破裂を懸念し続けてきた。弊社発行のレポートでも、あるいは当欄でもバックナンバーを当たってもらえば幾つか見つけることが出来ると思う。

そうしたなか、FRB議長が昨年8月に「連銀にとり不動産バブル発生の判断は困難」との見方を示すなど米金融当局者はこれまで一貫して否定発言を貫いてきた。しかし、5月20日の講演でグリーンスパン議長は「地区的に住宅市場バブルの傾向見られるが全国的住宅市場のバブルは見られない。住宅価格が下落する様相はない」と従来の発言を翻すようなコメントを発している。こうした発言の転換は非常に重要と言えそうで、今後の米住宅動向などが要注意になってきた。

実際に米住宅市場に眼を転じると新築、中古市場とも著しい過熱の様相を呈している。
具体的には、4月の新規住宅販売件数は131・6万戸を記録したが、これは前月を上回る過去最高の数値。また4月の中古住宅販売件数は628・0万戸と高水準になっただけでなく、販売価格が前年同月比で15%も上昇している。経済指標ひとつで「バブル」と断言するには早いものの、数値の内容を見る限り、明らかな「バブル」の様相と言えよう。

足元の状況を見ると、断続的なFRBの利上げにも関わらず米国の長期金利は低下中であり、延いてはそれが米住宅ローン金利の低下にも繋がっている。したがって、米国では「米住宅バブル」がまだ大きな社会問題化されているわけでないものの、「史上最低」と言われた米国住宅ローン金利が今後再上昇へと転ずれば「バブル破裂」の可能性も否定出来なくなる。グ議長が昨年8月の発言を翻し、警戒感を発したこともある意味で当然のことだろう。

では仮に、「米住宅バブル」が破裂した場合はどうなるのか。
これについては、かつての日本のバブル崩壊を思い出してもらえばスグに判ると思われるが、家計内の巨額な負債を受け国内消費がまず急減速、そして国内消費の落ち込みは景気悪化を引き起こすことになる。いわゆる「負の連鎖」という悪循環に陥るわけだが、米国の場合にはまだ辛うじて健全なところに留まっている。とは言え、安穏としていられるほどの立場でないことは言うまでもない。(了)



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