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2005年05月25日
◎米利上げの悪影響、徐々に表面化へ

1年以上の長きにわたり断続的に実施されている米国の利上げが、そこここで悪影響を及ぼし始めているようだ。実際、米利上げに端を発したと見られる、「一部ヘッジファンドの破綻(あるいは巨額損失)」のウワサが台頭して久しい。

筆者は以前から、米利上げは必ずしもプラス要因だけでなく、マイナス面も大きいと警告してきた。ただし、それは金利上昇による「米国住宅バブルの崩壊」を懸念していたためで、それを受けて米国消費が低迷し、景気悪化へ繋がるのではないかと考えているわけだ。
幸いなことに筆者の想定していたような事態にはまだ至っていないものの、別の意味合いから米利上げのマイナス面が指摘されるようになってきた。

その典型的な事例は米国を代表する自動車メーカーである『GM』の業績不振。同社の格付けがジャンク債レベルにまで引き下げられたことはまだ記憶に新しい。
エコノミストなどプロの方には釈迦に説法だが、『GM』の業績不振はいまに始まったことではない。ただ、それが表立ったものにならなかったのは、『GM』の金融子会社が大きく儲けていたからだ。言い方は悪いが、子会社の利益で親会社・本体が支えられていたことになる。
しかし、FRBの断続的な利上げで連鎖が崩れた。米利上げが金利高に繋がり、延いてはそれが『GM』金融子会社の経営を悪化させ、『GM』本体の業績悪化もいよいよゴマカシが効かなくなったというわけだ。

そしてここにきては、その『GM』の社債を保有していた一部の大手ヘッジファンドが損失を被った---とのウワサが台頭し、いまでもその思惑は根強くはびこっている。なお、為替市場においても、その損失補填と考えられるリパトリがドル上昇に繋がっているのでは、との見方も少なくないようだ。

一方で、筆者が調べたところによると、FRBが1年以上の長期にわたって政策金利を2%引き上げたことは過去20年に遡ってもわずか2回しか観測されていない。そして、2回とも金利引き上げ過程で金融機関などの破綻が表面化していた。
上記のようなウワサが出てくるということは、米国の金利引き利上げも最終段階へと入ったということなのだろうか。(了)



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