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2005年04月27日
◎原油価格の動き中長期では要注意

NY原油WTIは依然として高値圏ではあるものの、一時60ドル台乗せをうかがう展開にあったことからすれば、だいぶ落ち着きつつあると言ってよい。
しかしながら、中長期的にはまだ予断が許さない。原油高が「輸入大国」日本の経済に大きな悪影響を及ぼすことは言うまでもないことだ。

先月末30日に米系の大手証券であるゴールドマン・サックスが「1バレルは105ドルに向けて上昇する可能性がある」---などといったショッキングなレポートを発表したことは記憶に新しい。
皮肉なことにGSがレポートを発表した後から原油相場は調整と思しき動きで軟調に推移しているわけだが、それはともかく中長期で見た場合には原油高傾向が続くと見る市場関係者は少なくないようだ。GSの見通しである105ドルは行き過ぎにしろ、専門家のあいだでも80ドル程度までは充分到達の可能性があると言われている。

では仮に、原油価格が75〜80ドルに達した場合、日本経済や為替にはいったいどんな影響が出るのだろうか。
それを考える前に、昨年の平均原油価格は37ドルであり、75〜80ドルの価格は単純計算でも、その2倍だと言うことをまず頭に入れておかれたい。その上で、1ドルの価格上昇で支払う金額は15億ドルほど増加すると見られることを考え合わせると、年間で5兆円前後のコスト負担増となる。

一方で、日本の貿易黒字は月間1兆円強、年間で12〜14兆円ほど。原油価格が80ドルに近づくようだと貿易黒字が少なく見積もっても3分の1の減少、多ければ半減する可能性もある。
こうしたことが為替市場にも影響を与えないはずはない。需給的に見て、当然ドルの上値が軽くなる展開が予想されるわけだが、事実過去に2度あったいわゆる「オイルショック」のときには為替市場も大きくドル高・円安が進行していた。ちなみに、その際の円下落率は2年近い時間を掛けつつも20%から30%に及ぶ。つまり、1ドル=100円がスタートだとしても、ドル/円は120円あるいは130円に到達する可能性を否定出来ないことになる。
原油価格が再び上昇機運を強めるようだと一気に相場のメインテーマ、ドル上昇をサポートする主役になりかねない危険性を孕んでいる。(了)



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