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2005年04月20日
◎敢えてドル安リスクを指摘する

足元のドル/円相場は107〜108円台というドルの高値で推移している。
テクニカルには、昨年のドル高値からの下降トレンドラインを上抜けるなど一段のドル高が見込まれる展開だ。実際、110円を超えれば113〜114円がターゲットなどとする為替ディーラーの声は少なくない。
がしかし、そうした状況下、今回の本稿では敢えて「逆説的」なリスク要因を掲げておく。言ってみれば、「メインシナリオ」ではなく確率の低い「サブシナリオ」だ。

まず、ここ最近の為替市場を材料面から考えると、日米景況格差、日米金利差拡大、FRBに対する信頼感、米地政学リスクの後退---などドル買い・円売りの材料に暇がない。知人である欧州系銀行の為替部長も「いま現在、ドルが上昇しないなら上がる日はないのではないかと思うほどの環境が揃っている」と指摘しているが、筆者もまったくの同感だ。

けれども、これを逆に考えて見ると、「好材料が目白押しにもかかわらずドルは109円に届かず上げ渋っている」とは言えまいか。また、好材料が揃い過ぎているほど揃っている、という状況は材料面の「ピーク」を迎えているとも言えないだろうか。
いずれにしろ、ここからドルが続伸するには現在以上の好材料が出る必要があるものの、それがなにか容易に思いつかないというところが正直なところだ。むしろ、多少の悪材料が出た場合、そのわずかな綻びからセンチメントが変化するという危険性にも留意しておきたい。

一方、需給面からすれば、マーケットで注目度の高いシカゴIMM投機ポジションにおいて、円ショートが実に1年ぶりの高水準に達していることなども気になるポイントか。ヘッジファンドなど投機筋によるポジションの巻き戻しが近い将来起こりうることを予感させる。
また、巷間では「輸出企業はかなり先まで為替予約が取れている」などし、焦ってドル売りに動くことはないとの見方も少なくないが、筆者の取材では7〜9月のいわゆる社内レート策定に手間取っているため現場が動けないだけで、それが仮に「105円」と決定すれば足元の107円台でも積極的に予約に動くことになろう。その場合、ドルの上昇を阻む強力な要因となることは言を待たない。(了)



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