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2005年03月09日
◎米ドルの強さは斑模様

いささか旧聞になるが、2月初旬のブッシュ一般教書演説を受けて、一部のマーケット参加者からは「第2期ブッシュ政権の為替政策が変化した」などと言った意見がある。

何故そう思われているのか、ということについては紙幅の関係もあり今回は省略する。けれども、実際先日放映された「朝まで生テレビ」にも出演していた双日総合研究所の吉崎達彦副所長は、自身が発行しているレポート『溜池通信』において、「なんちゃって強いドル政策から真の強いドル政策へ」---などと書いていた(2月11日号)。

こうした見方が正しいかどうか筆者は良く判らない。がしかし、名実ともに米国が「強いドル政策」を導入したといったとの思惑が、為替市場においてある種のドル買いを促進していることは間違いない。例年であれば、リパトリなど需給要因からドル安に向かい易いとされる2月のドル/円相場が104〜106円で比較的小高く推移していることも、センチメントというか潮の目の変化を感じさせる。

そうしたなかFRBが発表している3種類の通貨実効相場(以下FRB指数)を見てみると、そのうちの一つである対主要通貨を中心に構成した「メジャー指数」と言われるものは95年と今回で長期のダブルボトムを形成した感もある。ドルの更なる上昇を期待したくなる足形だ。
ただ、それに対して、ほかの2つのFRB指数は思ったほど、ドル底入れを明確に示してはいない。なかでも、発展途上国などの通貨を中心に構成されている「OITP指数」は、底入れどころか反発にも転じていない。いまだにドルは緩やかな右肩下がりの状況にある。つまり、対ユーロや円など主要国以外では、ドルが引き続き弱いままの商状にあると言えよう。
一口にドル相場と言っても、相手通貨によって組み合わせは多岐にわたるわけで、状況を鑑みると全体を通じて米ドルが強い、もしくは上昇基調へセンチメントが変化したなどとは言えそうもない。

「米国へ海外からの資金流入が大事なファクターなのだから、FRBメジャー指数の底入れがもっとも重要」---といった声も聞かれ、それは一面で正しい。しかし、足元はあまりに「いびつ」な状況にあると言えるだろう。
いったい、どこが着地点あるいは「落し所」になるのか、今後の動静を見守りたい。(了)



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