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2005年01月12日
◎「本国送金法」成立の反動ドル高要注意

  「本国送金法(Homeland Investment Act)」---については、弊社の顧客向けレターは無論のこと当コーナーでも筆者は過去に何度か取り上げてきた。
 詳細についてはバックナンバーを参考にされたいが、昨年12月のドル安傾向には、その影響も無視出来なかったとの見方がマーケットの一部で指摘されている。

 ちなみに、「本国送金法」とは、米国企業が海外で上げた利益を米国に還流させることを促進する一種の税金優遇法案のこと。もう少し具体的に言えば、「米国に送金する際の税率を一年に限り軽減する」時限立法のことで、それを受けて税率は従来最高の35%が実に5.25%にまで引き下げられることになる。

 となれば、「本国送金法」の成立は、米国へ多大なリパトリ・資金還流が予想されるのではなかろうか?為替市場関係者にとっては、大きなドル高期待材料と言えるかも知れない。
 事実、筆者の知る限り、もっとも少なく見積もった先で800億ドル、多ければ3000億ドル規模に達するという。なお、前述した「最小の800億ドル」でさえ、実に2ヶ月分以上の米貿易赤字を帳消しに出来る金額だ。
 ところが周知のように、現実の相場展開を見るとむしろ逆。昨年12月の為替相場はドル安気味に推移した。これは一体、何故なのだろう。

 そうした事象・疑問について、筆者がコンタクトしている、ある外資系のストラテジストは「本国送金法の成立が逆に目先のドル安を誘発していた」と指摘する。
 つまりは、「今年の優遇税制を受けるために、米国企業が昨年中の米国への送金を抑制していたのではないか」(同)というわけだ。例年11月から12月に見られる、本国利益送金が見送られていたとすれば、足元のドル弱含みはある意味当然だったろう。

 上記ストラテジストの指摘が事実かどうかの見極めは正直難しい。ただし、「なるほど」と思わぬところもなくはない。そのひとつは、ドル独歩安とは対照的に、送金の多いユーロを始めする欧州通貨が円などと比較して堅調に推移していたという点だ。
 いずれにしても、これが仮に正しいとすれば、このあとの反動は要注意かも知れない。昨年末に掛けて溜め込まれた資金が米国へ一気に流入するとすれば、足元の1月以降予想外のドル高進行も一概には否定出来なくなる。(了)



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