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2004年12月22日
◎スノー長官留任と米為替政策

 今月6日、NYタイムズが「スノー財務長官が辞任へ、後任にカード首席補佐官の公算」−−などと報じたことで物議を醸していた第2期ブッシュ政権における米財務長官人事だったが、結局のところスノーの留任で決着を見た。

 産業界や金融界など、財務長官の出身業界によって為替政策が偏る傾向があることは周知のこと。しかし、それとは別に過去の事例を振り返ると、現職の大統領が再選を果たしたレーガンあるいはクリントン政権などでは、いわゆる1期目と2期目で為替市場に対する見解が確かに大きく変化している。

 実際、レーガン政権下の第1期財務長官を務めたリーガンはドル高政策を実施した結果、ドルは実効レートに換算して実に40%近い上昇を見せた。それが第2期、リーガンからベーカーへと財務長官が交代すると、あのドル切り下げの「プラザ合意」があり、ドルは一転して急落の展開を辿ることになる。
 上記ではレーガン政権のみ例に挙げたが、クリントン政権下でもほぼ同様(第1期がドル安、2期がドル高と逆だが)に政策が大きく変貌を遂げていることは興味深い。

 経験則から考えて、今回の第2期ブッシュ政権で為替のスタンスが第1期の「強いドル政策」から転換するのでは、とするマーケットの警戒感は判らないでもない。
 けれども、それは第1期と2期で財務長官が交代したと言う側面があることも否めない。事実、前述したレーガン政権だけでなく、クリントン政権でも財務長官がベンツェンからルービンへと変わってまもなく、ドルは79・75円の大底をつけて反発に転じている。
 ところが今回は第1期に続き、2期もスノーが継続して財務長官を引き受けることになった。このため、第1期からの政策を2期も継続するのではないかと思われる。取り敢えず、現段階での心配は杞憂と言えそうだ。

 なお、一部市場参加者からはスノー財務長官が留任すると言っても、「短期の繋ぎに過ぎない」との見方がある。
 それについて筆者が調べたところ変動相場制導入後、米財務長官の平均就任日数はおよそ900日。スノーが財務長官に就任したのは03年の2月3日で、来年の夏ぐらいに平均日数を達成することはやや気掛かりかも知れない。


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