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2004年11月17日
◎中銀のドル資産離れ、昨年は軽微なものに

為替市場の一部では、またぞろ「ロシアや中東、アジア諸国などが外貨資産に占めるドルのポートフォリオを低下させている」などといった思惑が浮上している。実際、8日付け英FT紙でも「中国がドルの外貨準備を売却しアジア通貨を買っている、とのウワサがある」−−などと報じていたと言う。

背景のひとつに、米大統領選の終了などがあることは間違いないが、その件についての詳細はここで指摘しない。それよりむしろ、テクニカル的な側面からその可能性が否定出来ないことをまずは指摘しておきたい。
「世界各国の中銀が保有する外貨準備における米ドルのシェアは急速に低下している」−−。為替マーケットにおいては一昨年ぐらいから、そう言われ続けており、これに大きく反対する市場参加者は少ないのではないかと思われる。筆者も、そう信じてきた。
しかしながら、IMF(国際通貨基金)の発表データを見ると、2002年は確かにそうした傾向がうかがえたが、昨年は若干様相が異なっている。具体的に言えば、2003年末現在で米ドルのシェアは63.8%で、これは一年前よりも0.3ポイントと若干だがアップしている。一方で、ユーロのシェアは19.7%とこちらも0.4ポイントのアップ。それに対して、円のシェアは5.2%から4.8%へと微減を辿っている。

つまり、三極通貨でシェアを低下させているのは日本円だけで、「中銀によるドル資産離れ」の定説とは裏腹にドルはユーロとともに僅かながらシェアアップしていたわけだ。もちろん、これには「特殊要因」、一年間で20兆円を超えたという日本政府・財務省のドル買い、ユーロ買い・円売り介入の存在があったことも忘れるわけにはいかないだろう。
いずれにしても、そうした経緯を踏まえると、現在各国の中央銀行が実際に外準資産に占めるドルポートを低下させているかどうかは別にして、ドル資産の縮小余地は殊のほか大きいと言えるかも知れない。それだけの「体力」は残っている。
そのため、ブッシュ氏の再選により、地政学リスクや米ファンダメンタルズなどに新たな疑念が生じたとすれば、確かに資産を米国から欧州などの他地域へシフトしても不思議はないかも知れない。


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