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2004年11月3日
◎実弾介入警戒感ジワリ、水準紹介の噂など数回

ドル/円相場が「当面のレンジ下限」と見られていた109円ちょうどを割り込むと、今週はじめには106円台まで下落している。経験則から「米大統領選の年は小動き」などと言われ警戒感がやや後退していたなか、その間隙を縫う格好のドル安とも言えるだろう。

そうした事態に当局もさすがに危機感を抱いているようで、ここにきて財務省を中心とした要人から「口先介入」が発せられている。ちなみに、今週はじめの東京タイムには谷垣財務相が「為替の動きを注意深く見ていく必要がある」、奥田日本経団連会長は「いまの水準は高いし上昇ピッチも速すぎる」---などと発言していた。
政府・財務省の対応が「口先介入」だけであればまだしも、今後「実弾介入」に動く可能性は果たしてどうか。
その前に、最近聞かれた「介入」あるいは「レートチェック」の噂を少しお浚いしておくと、9月27日欧米タイム111円台で一度思惑が広がっている。また、そのあとも何度か同様の噂・思惑が台頭しているようだ。ただし、いずれも実際に政府・財務省が介入を実施した形跡はなく、ここまでは単なるルーマーに過ぎないと考えられる。

さて、ここでもう一度本題、政府・財務省が今後「実弾介入」に動く可能性について話を戻す。
もちろん、「今すぐに」という話ではないが、先々実施される可能性は否定出来ない。
そう考えられるひとつの理由は、通貨の変動率。当局は実際の価格もさることながら、通貨の変動率をもっとも重視していると言われる。当局者のコメントで「過度の変動うんぬん」と語られることの多いのもそのためだ。ともかく、その通貨変動率はと言うと経験則にも要警戒ゾーンへと片足を踏み入れてきた。変化率からすれば足元の106円台はかなりの危険水域だ。
また、そもそも論として言えば昨年来の当局介入状況を見ると、110円以下はおおむね介入実施レベルと考えられる。それも1日で1兆円を超える大規模介入が実施されたことも一度や二度ではない。
財務官が当時の溝口氏から現在の渡辺氏へと変わっていることは政策変更をうかがわせるものとして一抹気掛かりながら、飽くまでリスク要因としては頭に入れておいても損はない。


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